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2022 10,21 22:01 |
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【1420日目】 絶好調から見事なまでに垂直墜落してしまったわしは、待望のYOSHIKI氏誕生のタイミングも重なり、数ヶ月現場から離れることにした。 わしはシーズンの個人・チームの成長管理を行うと共に、練習の現場ではシーズン目標や成長管理の進捗に基づいた、日々のメニュー組みや進行を行っていたので、不在の間は選手たちに代行してもらうことになった。 もちろん一通り引き継ぎを行ったうえで、場合によっては遠隔でアドバイスしながら、チームは活動を続けていった。 そんな、監督不在で迎えた2022年3月のドリームカップ。 監督不在となったチームがどんな戦いを、そしてどんな成績を収めるのか注目していると… ◆CLUB Jr ULTIMATE DREAM CUP 優勝/全34チーム(5勝0敗) あれ???わし、いないんですけど??!!! そう、マーベリックスは監督のバックレというキモい事態をものともせず、「じりつ」の精神を身に付けるという機転の利かせ方で、ピンチをチャンスに変えていた! その後しばらくして、YOSHIKI氏の成長と共にわしもなんだかんだで現場復帰し、迎えた4月5月と続いた大会。 身に付けた「じりつ」の精神と、監督の現場復帰という相乗効果によって、マーベリックスの快進撃は続いた!! と、妄想していたのだが?? ◆2022 CLUB Jr INVITATIONAL ULTIMATE TOURNAMENT 3位/全8チーム(3勝3敗) ◆第47回全日本アルティメット選手権大会 選抜予選 3位/全5チーム(2勝2敗) 惨敗! 世の中そんなに甘くはなかった。 しかし負けは負けでも選手たちの意識の部分で大きく変わってきたところがあり、ダブルスコアで負けていた頃は「格上相手に負けて仕方がない」と半ば妥協のような感覚が少なからずあったが、この頃の敗戦は明らかに「悔しい」に変わっていた。 このことは、アルティだけではなく、精神面での成長を大きく感じさせるものであった。 この敗戦を糧に、次に迎える大会は「WFDF 2022 World Ultimate Club Championships」。 遂に4年前の2018年に、この大会を目指してチームを立ち上げようと夢見た大会への出発が、いよいよあと一ヶ月に迫ってきた。 WUCCへの出場を決めるまでは、チームの目標は「WUCC出場」であったが、出場を決めた瞬間に、ちゃっかり「WUCC優勝」に上方修正して自らハードルを上げたマーベリックス。 この4年間の集大成の結果やいかに?!!! PR |
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2022 10,20 06:41 |
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Mavericksとの1500日 第15話 -転落- 【1280日目】 運にも助けられて、チーム結成時の目標「2022WUCC出場」も叶う流れとなり、ここまでマーベリックスは全て順風満帆に運用してこれていたと思っていた。 だからこの先、目標の終着点までアクセル全開でつき進んでゆけるものだとばかり思っていた。 しかし2021年12月、ここにきて、初めて、チームとすれ違いが発生した。 この案件は、信念とか、思想とか、そういった類のものであり、お互いの考えを自らはそれぞれ正しいものと信じているが、その一方で相手の考えは理解し難いという、極めて難易度の高い問題であった。 このような問題が双方に偏りなく解決できる方法があるのであれば、この世から戦争は無くなるのであろう。 天から地に落ちるどころか、地底の果てまで落ちた。 こんなに苦しいことはなかった。 でも、結局はわしはその後、WUCCでアメリカまで行った。 わしはWUCCまでの間、荒れて、何度も監督業を投げ出そうとしたが、その度誰かしらに引き留めてもらい、WUCCまでの責務を果たすことができた。 人は、苦しくて、一歩も進めない状態になっても、投げ出さずに、しがみついてさえいれば、いつかはその苦しい状態から抜け出して、以前からは考えられないような極小の距離であっても、一歩を踏み出すことができるようになるものなのであろう。 この経験はあまり書きなくない内容ではあったが、端から見るととてもうまくいっているように見えるものでも実は悩みや問題を内包していたり、また、あらゆる物事において完璧は無く、万事が順風満帆に進み続けることも有り得ないのだという教訓を忘れないためにも、あえて備忘録としてここに残したい。 |
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2022 10,20 03:40 |
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----------------------- しがないわしの選手時代、普段多くを語らないわしの尊敬する先輩選手(Yoshio氏)が、世界大会の切符を勝ち取るために避けて通れない、格上相手との試合前に急遽チーム全員を集め、円陣を組み、語った言葉がある。 「みんなはこれまで何十、何百と試合を経験してきたと思う。でもこの後に迎える試合は、普段の試合とは性質が異なるものであり、勝つか負けるかで、(アルティ)人生が変わる。人生を賭けた試合である。この試合はそういう試合であることを明確に認識しなければいけないし、絶対に勝たなければいけない。」 語った当人はこの言葉を語るに相応しい人格・実力・実績を兼ね備えていたこともあり、この後迎える試合に対してそこまでの覚悟を持つという発想がなかったわしにとって、この言葉は一生忘れないであろうインパクトをもたらした。 本当にその通りだった。世界大会とは4年周期であるが故に、チームのなかには、これが最初で最後のチャンスとなる人も少なからずいることであろう。 「人生を賭けた試合」 これだけは絶対に照準をズラすわけにはいかない。 わしのアルティ人生で、最も「勝つことの意義」を思い起こさせてくれた言葉である。 ----------------------- 【1200日目】 遂にやってきた。 2021年10月9,10日、「文部科学大臣杯第46回全日本アルティメット選手権大会・本戦」。 常日頃この日へのカウントダウンを示し、現状で達成すべき戦術的目標全体の何%が達成されていて、残りの日数でどれだけ伸ばさなければいけないのか伝え続け、1%でもそれを伸ばせるよう、努力を積み重ねてきた。 構想全体の70%。 それがカウント0時点での達成度という評価だった。 しかし、100%は世界との戦いも含んだ数値だったので、70%まで達していれば、少なくとも以前のようにダブルスコアで負けるようなことはあり得ず、優勝を目指すと公言しても恥ずかしくないレベルだと見積もっていた。 チーム結成時に掲げた目標「2022WUCC出場」のために用意された切符は、なんとたったの1枚。 すなわち、マーベリックスにとって初の本戦出場(前回は予選敗退)で優勝しなければならないという、前代未聞のノルマが課せられていた。 第1試合、東北の雄、JANDLUX。 まさに約2年ぶりとなる大会の場で、地道に蓄積してきたマーベリックスのアルティを炸裂させてくれ!!!!! と意気まいていたが、フタを開けてみたらとんでもない事態が発生した。 マーベリックスの選手たちは、久々の“大会”という場に、ガチガチに緊張していた!!!!!!爆 右手と右足を同時に出して走り出す選手や、何も段差がないところで転倒する選手、しまいには謎の口論を始める選手!! あれ???!!!! 戦術の表現はどこにいった?!!!!爆 競った展開となったハーフタイムで、「とりあえずみんな落ち着いて、練習どおりのプレーを出そうね」とだけ言って送り出し、ようやく落ち着きを取り戻してきたのか、少しずつ戦術が出せるようになってきた。 vs JANDLUX 15-8 〇 点差以上に危ない試合であった。 全日本選手権の本戦に出るのが初めてという選手が大多数(全員?)という状況が、こんな大崩れを引き起こすこともあるのかと、経験値の大切さというものを実感させられた試合であった。 第2試合、日本体育大学。 前回全日本選手権の予選でボコられ、予選敗退に追い込まれた相手である。 そしてなんと、マーベリックスの全員が学生時代から今日までに日体に勝った経験がないという、圧倒的な苦手意識!!!爆 初戦のヤバいテンパり&日体への苦手意識から、チームにはなんともいえない緊張が張り詰めていた。 一回も勝ったことがない相手に、同じメンバーで1,2年練習しただけで、ホントに勝てるものなの???? そして、試合開始。 初戦でだいぶ場慣れできたのか、マーベリックスは落ち着きを取り戻し、本来のマーベリックスのアルティを表現できるようになっていた。 ポジショニングがずれ、いつもと違うプレーを強いられたときは、ことごとく競り負けたり、カットされた。 しかし総じてOFもDFも、戦術的に、確実に、日体相手に通用していた。 vs 日体 15-10 〇 遂にマーベリックスの選手たちは、学生時代に越えられなかった壁を越えた。 この勝利は、選手たちに大きな自信をもたらすことに繋がった。 第3試合 準決勝、MUD。 遂にやってきた。 マーベリックスが日本の強豪チームに食い込んできていることを証明するために、そしてWUCCへの切符を勝ち取るために、避けて通ることができない相手。 一年半前まで、ダブルスコアでボコられ続けてきた相手。 コロナ禍の身内だけの練習で、ダブルスコアを覆して、“善戦”だけではいけない、“勝利”しなければいけない相手。 正念場とは、まさにこの試合のようなことを指すと感じた。 だからわしは、満を持してここで冒頭の「人生を賭けた試合」について、選手たちに伝承した。 しかしながらわしがこのことを語るにはまだ未熟だったようで、途中嚙み倒して何が何だか分からない展開となり、選手たちに真に響かせるには至ることができなかったのは、とても残念であった。南無阿弥陀仏 そしてなんやかんやあって、人生を賭けた試合が始まった。 vs MUD 12-13 ✕ ユニバースでの、敗戦。 今思えば、この1点差は、もしかしたら裏目に出続けたセットの采配をわしがもう少しうまくコントロールできていれば覆っていたのかもしれないと思うと、無念すぎた。 マーベリックスのアルティはMUD相手にも確かに通用していたが、試合中盤から、こちらの苦手部分を徹底的に突かれたと感じた。 敵ながらその割り切った采配はアッパレだと思った。 試合を振り返ってそんなことを思っていると、試合を終えたマーベリックスの選手たちの顔が目に入ってきた。 わしが監督を務めてきてから、途中もちろん厳しいことや辛いこともあったなかでも、わしのなかで覚えている彼女たちの表情のほとんどは笑顔だったのだが、今は全員の顔から表情が失われており、当たり前の現実に直面して愕然とした。 そして焦った。 わしは勝つことを信じすぎていたために、負けて、世界大会の切符も失ったときに選手にかける言葉を、準備していなかった。 それでもやはり、試合を締めるために、何かしらの言葉を選手たちにかけなければならなかった。 そういう状況に追い込まれて初めて頭を働かせてみると、わしはピエロになってでもみんなの笑顔を取り戻したい!!!というのが本心、本音なのであったが、「監督の責務」はそれを許してくれなかった。 わし「負けた事実は覆すことはできない。もちろん負けて、目標を達成できなかったことは残念なことだけど、事実を覆すことができない現状、我々ができることは、可能性に賭けてあがくことしかない。可能性とは、現在1枠しかない枠が、広がることである。そしてそれが現実になったときのことを想定して、少しでも世界へ行くためのを可能性を上げるためにできることは、一つでも順位を上げること、すなわち次の試合に勝って、3位で終えることである。泣いてていいのはあと2分。その後は次の試合に向けて切り替えるように。」 わしは物理的には泣いていなかったが、心では泣いていた。 そんなわしが心を鬼にして話したことは、同情の要素のない、痛烈にドライな言葉であった。 監督として、本当に辛い瞬間であった。 第4試合。 vs HUCK 15-9 〇 創設以来経験したことのない喪失感を乗り越え、マーベリックスは全日本3位を掴み取った。 そして、チームとして掲げていた「2022WUCC出場」の目標を達成できないことが明確となったこの日をもって、その目標に導くことが責務であったわしは役割を終え、監督を退任となった。 ~~~ 全日・本戦の翌週か翌々週に、打ち上げが企画され、わしも参加させてもらった。 監督を退任したわしであったが、この期に及んで往生際が悪かった。 何かというと、過去数回のWUCCの日本の出場枠は3つくらいあったのだから、今回ももしかしたら増えるのでは??という淡い期待を、未だに拭えずにいた。 そこで企んだ。 運良く出場枠が3つ以上になった時のことを想定して、そのことが決まってから準備を始めるのではなくて、まだ出場国の枠が確定していない今から準備を始めた方が、今後のチームの方針として建設的なのではないか?!! 他力本願の暴論のような方針だが、わし的な敗戦の悔しさがそうでもしないとやってられなかったのであろう。 打ち上げの途中でゲリラ的にこの暴論をブチかまし、勝手に「打ち上げ」から「最速の決起会」へと会の趣旨を変え、世界大会に出られないことが確定するまでは監督をやると勝手に宣言し、強制的に気持ちの切り替えを煽った。 そしてマーベリックスはすぐにオフに入ることなく、すぐに練習を再開することとなった。 それから約1ヶ月の2021年11月4日、WUCCへのウィメン部門の参加枠が4枠まで増えたとの連絡を受けた。 |
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2022 10,18 21:44 |
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【870-1200日目】 前回記事の2020年11月から、結成当初から目指している「2022WUCC出場」を賭けた大会である2021年10月の全日本選手権までの約1年、未だコロナ禍が影響して、一つも大会が開催されなかった。 従ってマーベリックスは、原則、延々と「コロナ対応BOOK」に則って身内だけの練習(4時間厳守)を続け、数ヶ月に1回ペースで対外試合を組み、成長の度合いを測るという活動を行っていた。 コロナ禍での活動を再開した2020年6月から2021年10月までの一年半弱、他チームや他団体との接触が無い、いわば隔離された環境で、ずっっっと身内練を続けていたマーベリックスの存在は、他チームから見てさぞ不気味であったことだろう。 しかしもしかしたら、そのようなコロナ禍以前では当たり前であったオープンな環境から一変し、練習環境を始め練習相手から練習方法に至るまで何から何まで一から考えなければならない状況に強制的に追い込まれたことが、今のマーベリックスの活動スタイルを作り上げたことに繋がったのかもしれない。 当時はそのような状況に嘆いていたものだが、今となっては逆に怪我の功名だったと言うことができるかもしれない。 そんな、謎多きマーベリックスの活動であるが、多くのみなさんが特に興味があろうことは、「マーベリックスのアルティって他とどう違うの?」という点かと思われる。 今回、企業秘密に気を付けながら、差し障りない範囲で紹介させていただきたい。 早速、先の問いに端的に答えるのであれば、 「まず全てのプレーを網羅した“戦術”が用意され、選手はその“戦術”を体現するために取り組む」 ということになるであろう。 従って、いくら学生時代に派手なスタンドプレーでブイブイ言わせていた選手であったとしても、マーベリックスの戦術的にそのプレーがマッチしていないものであれば、例え成功しても手放しで褒められることには繋がらない。 「チームの戦術的には、今のプレーのチョイスは求められてないから、このシチュエーションだったら今後はこのプレーができるようになろう。そしてチームの戦術が体現できるようになったら、それにプラスαの個のオプションとして、今のプレーも持ってるんだよということを練習の段階でチームに認識してもらったうえで、実戦で出すようにしていこう。」 このように、まず、抑えられる。けど、ただ個性を消すのではなく、チームの戦術を理解して十分に体現できるようになった次の段階で、伸ばす。 徹底してチームの戦術を目指したトレーニングをするから、選手たちのプレー全体を見渡しても奇想天外なスタンドプレーというものはほとんど発生しない。 なぜなら選手全員が「マーベリックスの戦術」の歯車であるため、そこに表現される9割以上のプレーはチーム全員が共通して認識している、練習どおりのプレーなのである。 しかし昨今のマーベリックスが表現するアルティを見て自信を持って言えるのは、マーベリックスの選手の頭には、間違いなくその戦術が叩き込まれているということである。 このような方針の取り組みであるから、マーベリックスにおける上手い、上手くない、あるいは成長している、成長していないの評価は、単純に用意された戦術を体現できるか、できないかの差であると言っても過言ではない。非常にシンプルなのである。 全員が共通の戦術理解を持つことによって生まれる最大のメリットは、 「どのメンバーの組み合わせでセットを組んでも、同じクオリティのアルティが表現されるようになること」 である。 このことによって、マーベリックスの身内の紅白戦は毎度恐ろしく均衡した戦いとなり、片方のチームが一方的にやられ続けるということがほぼ無い。 この取り組みは、いくつかの常識を覆してきたであろうマーベリックスの取り組みを語るうえで外すことのできない大きなものの一つである。 思い返せばチーム結成当時、提示された膨大な量の戦術を、誰も、一つも表現できないところから始まった。 バラバラの学生アルティ出身のメンバーで構成され、学生時代のどの経験にもあてはまらない未知すぎるマーベリックスの戦術がチームとして体現され始めるには年単位の下積みを要したため、最初はチームとして本当に何もできなかった。 マーベリックス的なストーリングの目的の理解と実践の浸透だけで、数ヶ月かかった。 ゾーンでのハンドの展開も、最初はパス2本も続かず、逆サイドに持っていくこともできなかった。 でも常に傍らに存在した「戦術」を拠り所に、そしてそれを体現できることを成長とする評価の指標にして、コロナ禍という閉鎖的な環境のなか、一歩一歩、一日一日、コツコツと、コツコツと練習を重ね、成長を蓄積させてきた。 幸いなことにわしはその個々の成長やチームの成長の全ての過程を見守ってくることができたので、それだけでとても感慨深いものであると同時に、果たして機能するかどうかもわからないこのような前例がない取り組みにモチベーションを切らすことなく付き合ってくれたマーベリックスの選手全員に、改めて深く感謝したい。 そして2021年10月9,10日、満を持して「文部科学大臣杯第46回全日本アルティメット選手権大会・本戦」が幕を開けるのであった。 |
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2022 10,13 23:35 |
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【870日目】 2020年は結局最初から最後までコロナ禍が健在で、シーズンを通して公式の大会が開催される見込みが無かった。 マーベリックスとしてはせっかく8月の練習試合で一つ壁を乗り越えて勢いづいているところであったものの、その成長を大会という場で実感したいと思っても、世間からその機会が与えられることはなかった。 だが、相手からやってこないのであれば、自分からその機会をつくってしまおうというのがマーベリックスの姿勢であり、実際に2020年11月に、MUD、スワンピー、HUCKを招いての大会を開催することにした。 徹底したコロナ対策のもと、この企画に賛同し参加いただいたMUD、スワンピー、HUCKのみなさまにはこの場を借りて感謝申し上げたい。 2020年11月頃のマーベリックスの活動状況はと言うと、定期的に活動できるメンバーも揃っての本格始動から即コロナ禍に入ってしまったため、その活動はほぼ全て身内だけの練習であった。 先の8月のHUCKとの練習試合が2020年最初の対外試合であったのだから、その表現は決して大げさなものではない。 マーベリックスは日々、チームとしての目標、そして個人の目標を達成するためにコツコツと練習を重ねていた。 なかなか身内だけでの活動だと成長を計るのが難しいと思われるかもしれないが、マーベリックスにはプレイングマニュアルである「ベジガールのトリセツ」なる変態アイテムが存在し、そこにあらゆるプレーの基準が定められているため、チームとして、そして個人としての成長管理が可能となっていた。 そしてわし的計測でチーム戦術の完成形の40%に達したなと感じるところで、今回の強豪チームとの大会を迎えることとなった。 その成長管理が正しければ、今までダブルスコア、トリプルスコアで負けていたところからだいぶ良い戦いができるようになってきているはずという試算だが、その成果やいかに?! vs MUD 12-15 ✕ vs スワンピー 9-15 ✕ vs HUCK 14-13 ○ …、勝ち越すことはできなかったけど、以前と比べてスコア的にもだいぶ強豪に近付いてこれている、かな??という感想を残す結果であった。 ただ劇的な成果こそ得られなかったものの、この頃からマーベリックスには一つの変化が生じていた。 それは、マーベリックスのアルティに取り組む選手全員の目に光が灯るようになってきた、というものである。 この年のシーズンインのミーティングでは皆まだ、不安や疑念に囚われていたため、その目はお世辞にも輝いていると言えなかった。 その頃と比べると、明らかに選手たちの表情が変わってきていると感じることができた。 ここにきてようやく「もしかしてマーベリックスのアルティは通用するのかも?!」という期待が芽生えてきたのであろうか。 このことは、監督としては、目先の戦績以上の成果だったといえるかもしれない。 以降、マーベリックスの活動スタイルは、コロナ禍であることも手伝い基本的には身内練で完結させ、対外試合は年に数回しか組まないというスタイルに固まっていった。 コロナ禍突入直後に頭を悩ませた、「練習時間はキッチリ4時間」かつ「対外試合できない」という2つのハードルを見事に乗り越えて、マーベリックスは独自路線で成長を続けてゆくのであった。 |
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2022 10,11 21:18 |
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<750日目> HUCKさんとの練習試合から1か月くらい遡った頃だっただろうか。 コロナ禍で活動を再開して間もなくの、とある身内練の日。 マーベリックスの練習では必ず練習前に当日の目標を確認してから練習に入るのだが、全体に向けて一通り説明を追えた直後、とある選手からこんな質問を受けた。 「監督って、今は(他チームの)選手と監督の両方やってますけど、今後どうするんですか?」 シンプルだけど、核心を突いた質問であった。 わしはまだ体がそこそこ動いていたので、当初、可能であれば選手と監督を両立したいという希望を持っており、そのような姿勢でマーベリックスの監督をスタートさせていた。 なので東京聖オゲレツ学園アルティメットゑロス倶楽部VegeGriffonsの練習があればそちらに参加し、途中で抜けてマーベリックスの練習に顔を出したり、という関わりをしたこともよくあった。 また大会においても、東京聖オゲレツ(以下略)の選手として出場し、すきま時間でマーベリックスの試合を見に行ったりということもしていた。 確かに今思えば、マーベリックスの選手からすれば、そんな練習や大会にいたりいなかったりの監督の姿勢に不安を覚えたであろうことは想像に易い。 しかしそう想像する一方で、わしは常に不安を抱えていて、心のどこかにある「監督って呼んでくれるけど、別にそれはお飾りなだけであって、本心ではいてもいなくてもあんま変わらないと思われてるんじゃないの??」との思いを拭うことができずにいた。 正直、みんながわしに何をどこまで求めているのか、本心は見えずにいた。 しかしそれはどれもこれも、就任してから丸一年半思うように成績が残せていなかったことの、わしの言い訳や、甘えだったのかもしれない。 わし的に、そんなフワついた立ち位置で監督業を続けていたなかでの、先の鋭すぎる質問。 その質問に対してわしがどう回答するか、意外なことにみんなの視線がビシビシとわしに突き刺さっていた。(ように感じた笑) 鈍感なわしでもさすがに察した。 ここでの回答が、きっと今後のわしとマーベリックスとの距離感に繋がるのだろう。 わしはある意味甘えで選手と監督を両立してきたが、本心はどうなのか? わしは本当に2018年に楓とりおと握手を交わした目標、「WUCC出場」を現実のものにしたいと思っているのだろうか? その目標達成のために、わしができる最大の貢献を果たすためには、物理的・時間的に両立は現実的ではなく、やはりある部分は諦めなければならないのかもしれない。 改めて見つめ直して、わしにその覚悟はあるのか??!!!! わし「今日をもって、わしは選手の活動をやめます。今後アルティの活動は、マーベリックス一本にします。だから、がんばろう!」 掲げた目標の達成のために、別の活動を諦めたり捨てたりすることが美徳であるとは必ずしも思わないが、わしにはマルチに二足の草鞋を履きこなすことができる器用さがないので、こう結論付けた。 今後、マーベリックスがどう傾いていこうが、アルティにおいて自分ができる最大の貢献を果たすことの覚悟を決めた。 その日は、確実にわしにとってのターニングポイントとなった。 その日から約2年半経った2022年10月現在、わしには未だに選手としての活動は行っておらず、目標に向けての練習からはすっかり遠ざかってしまった。 年齢的に、もしかしたら、もう大会で上位を目指すための選手に戻ることはないのかもしれない。 でも今、当時の決断を振り返っても、一つの後悔も残っていないのは、嬉しい誤算である。 |
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2022 10,01 10:00 |
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<780日目> 緊急事態宣言(1回目)が明けたものの、まだまだ世の中的にはコロナ禍での外出が躊躇される雰囲気があるなか、マーベリックスはマニュアルに則る形で、2020年6月13日からチーム単位での練習を再開した。 ただそんなご時世であるため、練習参加は強制ではなく、あくまで「選手本人とそのご家族の安全を第一に考え、本人の参加意思と、ご家族の了解の両方を得たうえでの参加とする」という方針があったので、毎回の練習で多少メンバーが欠けた状態で行わなければいけないことも覚悟していたのだが、フタを開けてみれば毎回ほぼ全員参加してくれた。 改めて、前向きに判断してくれた選手や、チームの方針をご理解いただいた選手のご家族には大変感謝である。(もちろん長いコロナ禍での活動のなかでは、時にはご家族の希望で練習に来れないという相談をしてきた選手が出てきたこともあった。そのようなときにはもちろん方針に沿って、その選手には自粛してもらった。) 再開するからには割り切って、「マニュアルに沿ったうえで、やると決めたらしっかりやる」という姿勢がチームに行き渡っていたため、活動再開直後からフルパワーで取り組むことができたことは大きい。 そして数ヶ月のチーム練自粛の遅れを取り戻すため、「他団体との接触が無い」「独立した環境で練習できる」などの追加のリスク回避を条件に加えたうえで7月には合宿も行い、未だ世間では自粛ムードが強いなか、マーベリックスは密度の濃い身内練を続けメキメキと実力をつけていった。 予め設計されたマーベリックスの目指すアルティ(戦術)の約30%くらいが体現できるようになってきたかなという頃、8月の中旬にHUCKさんと練習試合が組まれることとなった。 年内の大会開催が全くの未定だったり、他との接触について非常にセンシティブであった当時なかなか練習試合を行うこともできなかったため、久々に組まれた対外試合は一つの目標となった。 1月のシーズンインのミーティングで、なかなか結果が伴わないなかでのチーム運営の方針に対して、皆少なからず「疑念」や「不安」を感じていた頃から約半年。 途中緊急事態宣言の間は全体練習ができない期間もあったが、それでも遠くの大きな利を目指した練習の方針は変えず、すなわち「マーベリックスのアルティ(戦術)」を全員が体現できるようになるための練習を繰り返した。 その方針は、良く言えば「信念」、悪く言えば「こじらせた頑固」ということができるだろう。 そんな方針に基づく日々の練習に、選手たちは皆、どこかに「疑念」や「不安」を感じる部分もあったと思われるが、それを感じさせることなく、清々しいくらい前向きに取り組んでくれた。 わし的には、自らの基準と照らし合わせて見て実力がついてきているなと感じるなかで迎える対外試合は楽しみである一方で、「これだけ頑固に取り組んだのに、またダブルスコアで負けてしまったとき、どうチームに対して弁解したらよいのだろうか」と、とても大きな不安を抱えていたことは、察していただくに易い。 そして迎えた、2020年8月9日。 小汚い新宿の中華屋で楓・りおと握手をした日から、約780日目。 vs HUCK 10-8 〇 マーベリックスは、遂に壁を越えた。 この日「2020年8月9日」は、マーベリックスにとって2つ目のターニングポイントとなったのであった。 |
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2022 09,28 18:04 |
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<715日目> 2020年4月、初の「緊急事態宣言」が発出されたことに伴い、マーベリックスのチーム単位での活動も停止となった。 未曾有の事態に対して監督として急ぎ着手しなければならないことは、 ・全体練習再開の日に備えて、体力を衰えさせないこと。 ・練習や大会が全く未定という環境のなかで、モチベーションを継続させること。 ・一刻も早く全体練習を再開するために画策すること。 と見定めたが、一個目と二個目については、比較的容易な案件であった。 幹部らを中心にオンライントレーニングや個別のトレーニングについて考えてもらい、選手が日常的にトレーニングを行い、その実施状況を管理するような仕組みを作ってもらった。 モチベーションの維持については難しいところであったが、プレゼント企画的なものを度々開催し、なんとかチームへの関心を繋ぎとめてもらおうと試みた。(実際、そんなに影響はなかったかもしれないが…汗) 一方で、三個目の「全体練習の再開」、すなわち対コロナの画策については困難を極めた。 なにせこのようなパンデミックは前例がないため他のスポーツ等での取り組みも世の中に出回っておらず、再開に向けた前向きな取り組みどころか、全国的に「自粛!自粛!」の大合唱であったため、もはや「チーム活動の再開」について触れることすら禁忌なのではないかと思わせるほどであった。 しかし将来的にコロナ禍が明けるのであれば、必ず世界大会賭けの全日本選手権の試合がやってくるという未来から逃れることはできない。 でも、この世のどこにも正解例がないうえに、活動再開について具体的な方法と共に背中を押してくれる人は誰もいない。 だから、わしは信頼性のある情報に基づいた、マーベリックスオリジナルのルールを考える必要があると思い至った。 ・チーム単位での活動に際して、考え得る感染リスクを最大限に遠ざける努力を行う。 ・選手本人とそのご家族の安全を第一に考える。本人の参加意思と、ご家族の了解をもって参加可とする。 要約するとこれらのことを具体的な対応事項としてマニュアルに落とし込み、チーム全体で徹底管理のうえで運用するということが、絶対的な正解ではないかもしれないが、考え得る最適解であろうと考えた。 それからというもの、目まぐるしく変化する政府の動向や、各種スポーツ大会等の運用規定、厚労省等の公的機関や医療機関等が公表する感染のメカニズムに関する資料等、根拠情報として扱うことができそうな資料を片っ端から読み倒した。 どれだけの時間を要したか思い出したくもないが、今後選手から説明を求められたり相談を受けたときにしっかりと根拠をもって説明できるよう、そして自粛万歳という世の流れに反するチーム活動に対して世間から詰問されたときにしっかりと妥当性を説明できるよう、徹底的に理論武装した。 ガイドライン公開のタイミングから、本格的にチームの活動に向けて幹部らと調整し、6月13日から先のマニュアルにある条件の下、活動を再開するに至った。 活動を再開することについてマニュアルと共にチームのSNSで発信したことは、当時としては極めてチャレンジングであったと振り返る。 しかしその後、マーベリックスは世間からバッシングを喰らうことはなく、逆に同様に活動を再開したいと考える複数のチームから問い合わせがあり、マニュアルを共有させていただいた。 実際にそのマニュアルにある内容を参考に自チームの運用に向けてアレンジし、活動を再開したチームもあったと聞く。 同じアルティメットという競技を行う仲間たちが等しく悩みを抱えるなかで、抜け駆けして活動再開するという己の利だけを追求するのではなく、広くアルティメット仲間に対して一つの方針を示したというこの試みは、わし的にささやかながら、今まで大変お世話になったアルティ界への恩返しとなったのではないかと思っている。 もちろんこの試みはスタートすればいいということではなく、示されたマニュアルを徹底的に守りながら全員が全力で活動を続けたために、そこから一年半チーム内での感染は無かったという結果が伴って、初めてその方針の妥当性が認められるものだと思われる。 (残念ながら2022年2月に集団感染を確認したため、厚労省の療養・解除基準に則り、チームは一定期間活動を停止した。) 今、当時の取り組みについて堂々と振り返ることができるのも、一重にメンバー全員の真摯な協力があってこそであることに間違いないので、対コロナに関してもマーベリックスのメンバーには本当に感謝したい。 そんな形でマーベリックスのもう一つの戦い、コロナとの戦いが始まり、それはコロナ禍が未だ明けない執筆時(2022年9月)もまだ続いている。 |
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2022 09,27 18:18 |
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<650日目> 年始に行われたミーティングから始まった、2020シーズン。 2018-2019シーズンのスローガンが「始まり」であったことに続いて、掲げた2020シーズンのスローガンは「飛躍」であった。 2018-2019シーズンは戦術的にも、メンバー的(まだ学生の選手が多くいた)にも、まさに準備段階の期間となることを想定していたが、全くその通りとなり、「マーベリックスのアルティ」という形に現れてくるまでにはまだ時間を要した。 そういった地道な下地づくりを経て、ようやく本格的にマーベリックスのアルティの体現に取り組むことができるという2020シーズンであり、ここからマーベリックスの活躍が始まるぞという意味を込めて、「飛躍」というスローガンを設定したのであった。 さあメンバーも、チーム運用も整ってきたところだし、ガッチリ練習して実力をつけて、シーズンインmtgでみんなが感じていた疑念や不安を一掃するぞ!、と意気込んだ矢先、2月頃から、とあるニュースが世間を賑わせるようになってきていた。 新型コロナウィルスが日本に上陸、ダイアモンド・プリンセス号内で感染が拡大 まだこの頃は、正直、対岸の火事だろうと思っていた。 しかし連日のようにニュースでコロナについて取り上げられるようになり、3月に入るとプロ野球やJリーグといった国内主要スポーツの開催が軒並み中止や延期になったり、WHOも世界的なパンデミックの可能性について言及したこともあり、少しずつ身近な生活圏内に迫ってきた感があるな、という印象を持ち始めていた。 徐々にコロナは他人事ではないという印象が日本国民に植え付けられてゆくなかで、「志村けんさん死去」という、誰もが知る人の死という衝撃的なニュースによって、「コロナは人が死ぬ病気である」ことが強烈に印象付けられた。 “予防のワクチンや、感染後の治療薬といった対抗手段を持たず、非常に感染しやすいうえ、感染すると死ぬ可能性がある。” 当時の一般人のコロナに対する印象はこんなところであったと思われ、自ずと恐れを抱くようになっていった。 そして2020年4月7日、東京を含む複数の都市に対して政府から「緊急事態宣言」が発出されたことがトドメとなり、全国のほぼ全ての嗜好的な活動がストップした。 マーベリックスにおいても例外ではなく、3月中旬までは気を付けながら活動を続けていたが、世間の動向に加え「緊急事態宣言」がダメ押しとなり、チームとして集まって行う活動を避けるという判断をせざるを得ない状況に陥った。 まだまだ強豪には勝てないものの、少しずつではあるが「飛躍」に向けての前進が感じられるようになってきた矢先の、超絶強烈な大打撃であった。 2020年4月時点で以下の状況で、全国3位以上(予想)を目指さなければいけないという、わしに課せられた使命。 ・社会人強豪にダブルスコア負けの実力差 ・新型コロナの登場により、チーム単位での活動の再開が未定 ・世界大会賭けの2021全日本選手権まで、残り「550日」 ・練習時間は4時間厳守(アップとダウン含む) これを何というか。 端的に、「無理ゲー」と呼ぶ。 |
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2022 09,16 21:00 |
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<450日目> 2019年の全日本選手権・予選で敗退した後、マーベリックスはどのような取り組みをしたかというと、実は変わらない。 シーズン開始の時点で示した「ベジガールのトリセツ」なるプレイングマニュアルにある戦術や個の動きを、チーム単位や個人単位で体現できるようになるための練習をひたすら続けた。 どのメンバーでセットを組んでも同じクオリティのアルティを体現できるようになることを目指したその取り組みは、悪く言えば非常に遅効的であり、すぐさま結果として表れるものでないため、選手の立場からすればとてももどかしいものであっただろう。 しかし750日後に控える、WUCC賭けの全日本選手権・本戦を見据えた場合、使い捨てにしかならない目の前の小さな利よりも、コツコツと蓄積を続けて組み上がる大きな利こそ目指すべき成果であると信じ、その方針を崩すことはなかった。 そして迎えた2019年10月のチャンピオンズリーグ。 前回大会で★★ダブルスターで優勝したマーベリックスは、★★★トリプルスターへと昇格し、再び強豪と対戦することとなった。 vsスワンピー 5-15 ✕ vsマッド 7-15 ✕ vs壱 6-15 ✕ 全日本選手権・予選で敗れたときと変わらず、実力的に、ある意味順当な点数での敗戦となった。 ダブルスコア、トリプルスコアが当たり前という厳しい現実。 今大会も全敗で終えるのかと覚悟した最終試合、 vs夢所属 15-14 〇 前回大会の★★★トリプルスターで優勝した夢所属に勝利! メンツ的には往年の名選手揃いの夢所属さんではあったが、必ずしもメンバーをガチガチに固めてまでは勝ちを目指していないというチーム方針にも助けられ、若いチームの勢いで勝った、という試合展開であった。 夢所属オフェンススタートのユニバースで、メンバーを固めれば難なくキープして試合を締められるだろうという状況のなかでも、方針をブレさせることなくメンバー回しでセットを組んでこられた。 これは、予め掲げたチームの方針に沿っての采配であったことは、容易に感じ取ることができた。 個人的には、この試合では勝敗云々よりも、チーム運営において大切な、簡単には信念を曲げない芯の強さというものを学ばせていただいたと感じている。 もちろんマーベリックスの選手は久々の勝利に喜んでいた。 なかなか勝利という形での達成感を味わうことができていなかったので、今後も続いてゆく地道な練習に向けてのモチベーションに繋がればいいなと感じたものである。 もしこの大会で全敗し、自分たちの取り組みは全然通用しない意味の無いものなのだというモチベーションの低下に繋がってしまったら、それこそタイミング的にメンバーの離脱の可能性すらあったのではないかと思うと、この勝利はマーベリックスにおける最初のターニングポイントだったと言っても過言ではないもしれない。 <550日目> 2020年は1月に入った。 年末年始のオフが明けてすぐの1月中旬に、2020シーズンのキックオフ的な形で合宿が行われた。 先のチャンピオンズリーグで1勝はしたものの、その喜びの余韻も長くは続かず、チームは「疑念」や「不安」といった、決して前向きではない雰囲気に包まれていた。 それもそのはずで、当たり前のように強豪チームにダブルスコアで負けるのに、チャンピオンズリーグ後も引き続き一見何に繋がっているのかわからない練習が反復して行われるという実態。 そして強豪に敗戦に対してのわしからのチームへのフィードバックは、 「まだチームとして体現できるように取り組んでいる完成形の10%にも達していないんだから、今負けることは仕方がない。でも、日々取り組んでいる〇〇については実戦でも表現できるようになり、それが通用することも実感できている。そういうものをこれからどんどん増やしていこう。」 という、捉えようによっては、先延ばし・責任逃れの、詐欺まがいのコメントばかり。 現在の取り組みが将来的に良い結果に結びつく確証は全く無いなかで、自分なりに組み立てた計画における信念に沿った発言に過ぎないため、これで最後まで強豪に負け続けたらホントただのペテン師だなと、発言しているわし自身不安で押しつぶされそうな心情であった。 監督でも不安なのだから、選手たちが不安に感じない方がおかしい。 この頃、チームとして上を目指す以前に、この期に及んで存続的な危うさを感じる時期に入っていたので、楓・りお両キャプテンと、どうやったらメンバーのモチベーションを維持して取り組みを継続させ、それを効果的にチーム力アップに繋げられるかと、頭を悩ませたものであった。 そんな、チームの今後を案じて日々の運営ですら難儀しているところに、マーベリックスどころか、誰も予想できない規模感、すなわち全世界の活動を強制停止させるインパクトを持つバケモノが、ヒタヒタと我々の身の周りに迫ってきていた…。 |
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2022 09,10 10:00 |
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<200日目>
2019年に入った。 日々の練習はお世辞にも軌道に乗っているとは言えなかったが、2018チャンピオンズリーグの★★ダブルスターをほぼノー練習で優勝したという実績から、 「フルメンバーが集まれば、個の強さと若さの勢いで、強豪社会人チームにも通用しちゃうかも??」 そんな能天気で楽観的で、今思えばどこまでも浅はかな期待を持って臨んだ、初めての強豪社会人チームとの対戦。 何の根拠も無い淡い期待は、完膚なきまでに叩き潰された。 <2月 甲州オープン> vsハック 6-13 ✕ vsマッド 6-12 ✕ vsスワンピー 5-13 ✕ <6月 全日本選手権・予選> vsハック 3-11 ✕ vsスワンピー 7-13 ✕ 現実は甘くなかった。 健闘しても、ダブルスコア負け。 100回対戦して100回負けるであろう試合内容であった。 先輩たちの背中は、あまりにも遠かった。 更には経験で劣るはずの、学生チームの日体にも負けた。 大会当日の人数が少なかったとはいえ、決して試合内容で上回っているとは言えない展開であった。
周囲に期待されながら鳴り物入りで参加した初めての全日本選手権は、まさかの予選敗退という苦い結果に終わった。
叩きつけられた現実は痛烈であった。 まだ学生や、参加が不安定な社会人1年目が多数。 大幅なメンバー補強の計画も無い。 従って当面は、大幅な練習環境の変化を見込むことができない。 「2022WUCC出場」という目標を達成するためには、残り2年余りで迎える2021年の全日本選手権までの猶予で、強豪にダブルスコアで負けてしまう現在のメンバーをベースとして、互角以上に戦えるようにならなければならない。
人って、チームって、そんなに変われるのだろうか? 正直、詰んでいる感が半端ではない。 しかし現状を打破し、目標に近付くためには、劇的な特効薬が存在しない以上、地道な「チーム力の向上」を目指すしかない。 チームは「マーベリックス流のチーム作り」の信念に基づき、地道に練習・活動を継続する一方で、終わりの見えない苦しい苦しい季節の訪れを感じたのであった。 |
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2022 09,09 20:00 |
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<150日目>
2018~2019シーズンの、初期のマーベリックスの構成メンバーは少し特殊であり、全体としては15人くらい所属していたものの、その半分は学生であった。 従って2018チャンピオンズリーグではそこそこ人数がいるように見えたが、普段の土日の練習では10人揃うことも珍しく、チームとしての活動の成果を蓄積させるという意味では苦しい台所事情であった。 そんな少人数だから大々的に練習場所の確保もできず、時には練習できそうな場所にたどり着いたものの石が散乱していて危険だったため、練習前に石ころ拾いをしてからスペースをつくったりと、アルティ以前の取り組みも多かった。 それより何より、少人数かつ不規則な参加メンバーによる練習であったため、練習を継続することによるチーム力の蓄積を全然実感することができないというところが非常に厳しかった。 まずはマーベリックスにおける共通言語の浸透から始め、どこがどう繋がるのかイメージが難しい、戦術全体の1%くらいの断片的な戦術的な練習を、延々と、1年くらい続けただろうか。 そんな苦しい環境であったけれども、今日(2022年)に至るまで、辛抱強く練習を継続してくれた初期メンバーは、本当に偉大であり、感謝が尽きない。 どうかこの時代を知らない新入りの諸君は、今の安定的な活動環境が決っっっっして当たり前のものではなく、先輩たちによる気の遠くなるような下積みの貢献によって築かれているのだということを、片時も忘れずにいてほしい。 |
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2022 09,08 20:14 |
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<100日目>
2018年10月の日曜日、獨協大学キャンパスで選手たちとはじめましての挨拶をした翌週。 「アルティメットクラブチームチャンピオンズリーグ2018」という大会があり、マーベリックス(当時はまだ平成ベジグリフォンズ)もエントリーしていた。 つまり、チームとしての練習はミーティング後の数時間だけで、ぶっつけ本番の公式戦である。 チャンピオンズリーグは前回大会の成績によってリーグが分けられ、マーベリックスは★★ダブルスターというリーグでの戦いとなった。 当大会でのわしの役割はというと、一応は監督ではあるもののまだ選手の顔と名前も一致しないし、戦術面での取り組みも無に等しい状況だったので、東京ベジグリフォンズの選手として参加していた。 選手メインで、空きの時間でマーベリックスの試合があれば観戦しようかな、というスタンスである。 そんな感じで、完全に第三者的な関わりをさせてもらったので、晴れてどんな選手がいてどんなアルティをするのかと、お手並み拝見ということである。 振り返ってみて残っている印象としては、とにかくアップでも試合でも和気藹々とやる雰囲気であり、プレーは荒いがとにかく勢いはあるという、よくある4年連合チームの延長みたいだな、というものであった。 そんななか1点、アップでのロング練を見てて、みんなスローとキャッチがうまくて、基礎の部分はある程度しっかりしてるんだなぁ、というのは特に印象に残った。 監督をやるにあたって、戦術以前にスローキャッチの強化の部分から時間を割かなければいけないとなると、掲げる目標への距離感がだいぶ変わってきてしまうので、そういう意味で安心材料であり、将来的な成長に期待を感じさせるものであった。 わしは空き時間にふらふらチームを覗きにいったりする程度で何の指示もしなかったし、何の采配もしなかったが、フタを開けてみれば、マーベリックスは★★ダブルスター優勝! え?? もしかして、この監督業、超イージーゲーム?!! 順調すぎる初陣に、わしは拍子抜けしてしまった。 そのせいで、今後やるべきことは、大会中にメンバーとすれ違ってもわしだと認識されず素通りされることが多々あったので、ちょっとこちらも顔と名前を覚えてお互い認識を深めないとなっ、程度の軽~い課題しか思い浮かばいほどの楽観ぶりであった。 それから先、世の中そんなに甘くないという現実を叩きつけられ、長きに渡り苦しい時期を過ごすことになるとも知らずに… |
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2022 09,08 18:10 |
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<90日目>
2018年10月中盤の日曜日。 遂にその日がやってきた。 わしにとって未知の軍団、ベジガールたちと初めて顔を合わせる日。 もちろん心中は穏やかなものではなかった。 今更だけど、わし大丈夫なの?!!!! もうここまできたら当たって砕けろ精神以外のなにものでもない。 指定された時間に獨協大学のキャンパスに侵入し、集合場所である中庭の銅像へと向かった。 15人程度だっただろうか、選手たちもあらかた集合したみたいで、楓とりおに促されて銅像を背に立つと、わしを中心に見事に半径3mの距離を置いた半円ができあがっていた。 完全に警戒されている距離感であった。 やっぱそうなっちゃうよね~、と思いながら軽く自己紹介した後、チーム全体のキックオフミーティングをするために近場の会議室に移動した。 ミーティングで、チームに対して初めてスピーチをすることになった。 主な内容はチーム設立の目標である「2022年のWUCC出場」ということになるのだが… 選手たちのわしを見る目に全く輝きが宿ってない…! 突然目の前に現れた監督を名乗るおじさんの語る目標が遠大過ぎて、誰一人現実的な目標として捉えられていないのは明らかであった。 ある意味勢いで引き受けてしまった監督だけど、今日から背負うことになる責任の重さと、容易に想像できる未来の前途多難さを、改めて肌で実感したのであった。 |
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2022 09,01 17:30 |
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<0日目>
2018年6月22日の、新宿・歌舞伎町。
既にすっかり日も落ちており、歌舞伎町がヤバイ雰囲気を醸し出してくる時間帯であったが、わしはそんな歌舞伎町のなかでもとりわけ奥深くに存在する、とある中華料理屋に向かっていた。
打ち合わせには全く相応しくないロケーションで、この後楓・りおと面会し、新チーム立ち上げについて話す予定となっていた。
皆中華屋に集合したところで、中華料理をつまみながら、ボチボチ話を始めた。
わしが監督のオファーを受けるにあたり、予めいろいろ確認したかったことを聞いてみた。
わし「新チームの目標は何だい?」 りお「4年後、2022年のWUCC(世界アルティクラブチーム選手権大会)に出場することです。」
ほぅ。長期的なビジョンを持っていて、しかも国内だけに小さくまとまらず、世界レベルを目標に設定してくるとは、おもしろいネ。
わし「メンバーのアテはあるのかい?」 りお「はい、もう各所に声をかけていて、15人くらいは揃うんじゃないかと思います。」 わし「ほぅ!そんなに集まってるんだ!」 りお「はい、今まだ学生の子にも声かけてます。」
ほぅ。順調にいけば、人数はそこそこ揃うのか。
わし「何でノマでもバズでもなく、表舞台に顔を出したことのない聖オゲレツ学園アルティメットゑロス倶楽部ベジグリフォンズのわしにオファーしたんだい?」 りお「U24のときに、コロンビア戦の直前に情報をくれたのを覚えていました。」
へぇ、U24のときのことを覚えていてくれて、戦術面での考えを判断基準に、候補に挙げてくれたんだ。(U24の世界大会時、わしは2人の対戦相手であったコロンビアの特徴的なOF戦術について情報提供したという過去があった。)
わし「せっかく社会人の貴重な土日を使っての練習になるのだから、なるべくアルティだけではなくて、選手のプライベートの時間にも配慮した活動であることをウリにできるといいんじゃない?」 楓「はい、プライベートも大事だと思います。」 わし「そうすると土曜は一日練、日曜は半日練とか、そんな感じかしら?」 楓「はい。土曜も日曜も、半日練でいきたいと思います。」
…ん?? 土日とも半日練???
要約すると、 ・世界大会賭けの全日本選手権まで3年の期限で、 ・現時点で学生も混ざっている、実力も不明な15人くらいのメンバーで、 ・他のチームの半分の練習時間で、
で、
「WUCCの出場(=全日本で3位以内と推測)を目指す」、だと?!
無謀すぎる!!!!笑
だってわし、もそもそ監督とかやったことないし!!!!笑笑
アルティの実力や実績的に考えても、監督に相応しい人、他にいっぱいいるでしょ!!!!笑笑笑
冷静に考えるとヤバすぎて笑いが止まらない条件であったが、でも、そんな夢を語る2人の目は嘘を語っておらず、他でもない「わし」に目標達成のための助力をお願いしてきていた。
何の自信もない。
何のノウハウもない。
でもなぜか、2人の期待に応えてあげたいという心が、冷静な頭の試算を、上回った。
と同時に、こんな無謀な挑戦を達成してこそ、これまでの様々な日本アルティ界の常識を覆すキッカケとなり、わしというイチ人間が日本アルティ界に存在したんだという証を残すことができるかもしれないという、妙な気持ちも湧いてきた。
それは、今までたくさんの喜怒哀楽という人生において大切なものをわしに与えてくれたアルティメットという競技への、「感謝」の気持ちに他ならない。
わし「うむ、じゃあ、やろうか。よろしくお願いします。」
3人は握手を交わして、わしはこの日、正式にマーベリックスの監督になったのであった。 |
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2022 08,26 19:06 |
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2018年5月だっただろうか。
ある日突然、りお、楓、わしの3人が構成メンバーである、「ハニートラップ」という名の、露骨に怪しいLINEグループに招待された。
恐る恐る参加すると、早速りおからメッセージが届いた。
りお「真剣な相談があります。」
え…。
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そもそもなぜわしと、12コも年下の楓とりおが知り合ったのかというところから紹介しないと、話が繋がらない。
キッカケは、2017年に参加した、「Run to Taiwan」という、台湾で開催されたミックスの大会である。
当時参加するチーム(染井吉野)のメンバーを検討していた際に、法政大学アサマックスの創始者であり変態大魔王こと「かんさん」のツテで、2人にお声がかかった。
楓とりおは2018年のU24の代表に選ばれていたこともあり、海外選手との対戦の経験値になりそうだとのことで、Run to Taiwanへの参加を決めたのだという。
わしとの初接触は、りおは2017年の学生本戦の会場であった。
かんさんに連れられて挨拶に行ったのだが、確かりおともう一人並んでいたと思うのだが、実はどちらがりおかわからないまま適当に挨拶をしてしまっていた。
ひどい話で、絶望的に人の顔を覚えることが苦手なわしは、台湾にて改めて挨拶するまでりおの顔を認識できないという有様であった。
楓とは国内では話したことは無く、台湾の宿のロビーでの接触がはじめましてだった。
2人とも海外チームとの対戦を楽しみに台湾に来たはずなのに、本業のアルティはそこそこに、気付けば大会公式のパーティーで半ば強制的にセーラー服コスプレをさせられ、群衆の前で踊らされるという鬼畜プレイを甘んじて受けていた。
そのときの2人の絶望に満ちたお顔といったら、筆舌に表し難いものであった。
そんな、この先長い付き合いになるなんて全く思えない、ヘンテコな初対面だった。
~~~~~~~~~~~~
と、台湾から半年ほど経ってから急に舞い込んだ、りおからのLINEでの相談に戻る。
内容を聞いてみると、思いもよらないメッセージが続いた。
りお「新チームの立ち上げを考えているのですが、監督的なことをやってくれませんか?」
わし??!監督???!!
全然意味がわからなかった。
わしの、アルティのスペック的にも、経歴的にも、決して監督を務められる器ではない。
アルティ以外の場で、監督みたいなことを務めたこともない。
しかし、即答で断ることは簡単だが、何か訳があってわしを頼ってきてくれたのだろうから、無碍に断るのも可哀想である。
わし「ちょっと考える時間をくれないかな・・・」
とりあえず回答は保留にした。
引き受けるにしても断るにしても、今回のオファーに至った経緯とかを聞いてみたいということと、もしわしが監督を務めることになったときの目指す目標やチーム像が2人の考えとマッチするかどうか、しっかり確認する必要があると思った。
ということで、後日、実際に顔を合わせての話し合いの場を設けることとしたのであった。
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2021 11,01 17:17 |
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2021年10月、約1年半ぶりに、UrotaSというチームでアルティメットの大会に出てきた。妙なチーム名の由来は、ボンバーズの梅澤氏に由来するとかしないとかという噂である。
大会は、静岡県はつま恋リゾートで開催された、マスターズアルティ選手権であった。
コロナ禍に入ってから1年半というもの、わしのアルティとの関わりは、選手としては練習を含め0%であり、マーベリックスのストーカーが100%であったので、当初大会に出場するつもりは全くなかった。
しかし光栄なことに、偉大なるハスキーの後輩・秀一先生に、人数不足が理由とはいえお声がけいただいたので、ノリでエントリーしてしまったというのが正直なところである。
会場にて、他チーム含め心優しいみなさんはわしに「マーベリックスの監督おつかれさま」と労ってくれたが、わしはストーキングをしているだけで監督業の方は後付けのオマケでしかないため、広く誤解を招いてしまっていることに心苦しいばかりであった。
マーベリックスの選手たちが我に返ってしまう可能性があるためあまり大きな声で言うことはできないが、全日・本戦で毎度わしがラインナップするマーベリックスの選手たちに声をかけていた内容の実に9割が「基本に忠実にネ◎」だけであったことは、ここだけの秘密である。
そんな軽いモチベーションで大会に臨んだものだから、執筆現在の全身にわたるバリンボリンの筋肉痛に反比例して、パフォーマンスは散々なものであった。
スコア数の競争どころか、2ターンに1回以上のペースでセットに入ったというのに、わしがゲインに貢献したのは2日間通して30mくらいだろうと思い返してみると、本当に悲しくなってくる。
ただ何事も細くても長く続けることも大事であり、特にマスター世代ともなってくると広く業界のことを知ることができるようになってくるので、久々にその世代で集うと思い出話が尽きなくなってくる。
初日の夜の懇談の場においても、そこに集う者たちのアルティの話題は未来のことなど一切出てこず、見事なまでに全て過去のものであった。
今回、あらゆる思い出話のなかで最もどーでもいいトピックスを紹介させていただこう。
~「ドリンボ」の名前の由来はなーに?~
どうだろう!
この眩いばかりのゴミのようなトピックス!!!
これについて遠く掛川の地で多くの大人が集い、耳を傾け、皆で情報を分かち合うという、なんたる背徳的な時間の使い方だろうか!!!
そんなゴミネタを改めて掘り下げて、賢明な読者の皆さんにもアルティトリビアの一つとして紹介させていただきたい。
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テーマ:「ドリンボ」の名前の由来はなーに?
●第1期:「ロドリゴ」時代
大学時代初めて彼と出会ったとき、彼は自分のことを公然とベッカム・ブラピ・デカプリオと名乗っていた。しかしわし的にはどう好意的に解釈しても先のハリウッドスター3者の要素は彼に内包されていないと、強い違和感を覚えていた。
なのでとりあえず南米・中東系の名前でパッと思い付いて、顔面のパーツが通じるところがある「ドドリア」さんともゴロが合っている、「ロドリゴ」さんと上書き指名させていただいた。ここで「ドリ」のベースが生まれた。
●第2期:「ドリゲロ」時代
少しの間「ロドリゴ」さんで通っていたが、彼の、吐瀉物を想起させるような生態が世に実在する「ロドリゴ」さんに失礼を与えてしまうのではないかと危惧し、「ロドリゴ」+「吐瀉物=ゲロ」で「ドリゲロ」さんが誕生した。
なお極一部の方が「ドリゲレ」さんとアレンジして呼ばれているのを耳にしたことがあるが、ギザ10と同じように使用期間が限定された呼称であるため、「ドリゲレ」さんを知っている人は極まったハスキー通であるということができよう。
●第3期:「ドリンボ」時代
この世に存在する甘味を余すことなく注ぎ込み、輝かしいばかりのスター性をそのまま体現するかのような、トロけるような彼のパーフェクトフェイス。そして、艶やかに耳をくすぐる魅惑のワード、「ドリーム・ジャンボ」。これを略して何になるか、お分かりになるだろうか???
そう、
全く関係はない。
「ゲロ」という直接的な表現に飽きたことと、テレビでふと某アフリカ秘境の原住民族のなかに「ンボボ」さんという名前の人がいるのを見たことが繋がり、「ドリ」+「ンボボ」で、最終形態である「ドリンボ」さんが完成した。
ちなみにンボボさんの住まわれるエリアにはスマホやインターネットが普及していない模様であり、「ドリンボ」の一部として組み込んでもSNSで誹謗中傷を受ける可能性は低いと考えられたので、今日でもありがたく使用させていただいている。
なお、「ドリンボ」さんのことをフレンチ風に「ドリボンヌ」さんとアレンジしている人類が地球上に数人いると耳にしたことがあるが、その呼称を知っているあなたは本物の変態である。
●採用はこちら
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総じて、だからなんだ、とは、どうか言わないでいただきたい。
悲報:
冒頭でわしが大会に出た動機が秀一先生にお声がけいただいたというのが大きなものだったと述べたが、当の秀一先生は初戦の2ターン目くらいで強烈な接触プレーで痛んで外に出てゆかれ、その後最後までフィールドに戻ってくることは叶わなかったとさ… |
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2021 06,16 12:33 |
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みなさんは、「古畑任三郎」をご存知だろうか? 最近亡くなられた俳優・田村正和氏が演じる警部補の「古畑任三郎」が、主に殺人事件に対し巧みな話術を武器に推理を進め、犯行の真相を解明していく、というTVドラマである。 1994年~2006年の間に放送されていたものであるため、我々の年代にとっては学生時代ドンピシャで共通の思い出であるが、獨協の破壊王こともんちなどの今の学生世代は知らない人も多いかもしれない。 と、そんなひと世代前の人気作品を冒涜するような忌々しき事件が、時を超えて、この令和の時代に勃発した。 ~~~~~~ コロナ禍が続くなか、人の形こそ留めているものの明らかにコロナより毒性が強く、会えば漏れなく著しく心身に異常をきたすことが確実であるために、最近は特に接触を避けている人物から、急にLINEが入った。 LINEを通じてのスマホの汚染を恐れて十分に消毒した後、恐る恐るメッセージを見てみると、そこには唐突な内容が記されていた。 ??「以前ハスキーの友人の結婚式のときにつくったドリ畑の動画ってある?」 露骨に安いこのメッセージの送り主は、 そう、 ドリンボ なお、古畑風に、このメッセージに隠された暗号を解読すると、以下のような変換となる。 ・ハスキー → ハスキーズ ・ドリ → ドリンボ ・畑 → 古畑任三郎 ・ドリ畑 → ドリンボが古畑任三郎を演じたという、字面を見ただけで想像に易いゴミキャラ ・動画 → 見る人の貴重な人生の時間をドブに放り込むだけのゴミ動画 古畑が流行っていた当時でも既に安かったのに、それを今さら掘り起こして見ようなんてなんという神がかった安さなんだと思いつつ、シークレットYouTubeのURLを共有した。 以上のやりとりだけで十分にこの案件は完了、のはずだった。 ~~~~~~ 数日後。 ドリンボからLINEが入った。 再び入念に消毒した後、メッセージを見てみると。 ドリンボ「仕事関係の真面目な200人規模のセミナーを開催して、200人の前でドリ畑をやったら、スベった・・・しにたい」 ・・・は? この一メッセージだけで著しい情報量が凝縮されており脳がパンクしそうになったため、わしことわし畑は脳を高速回転させ、瞬時に情報を整理した。 〇情報1:真面目な200人規模のセミナーを開催 NEET教・教祖のドリンボからスベりのライセンスを学びたいという勇者が200人も、本当にこの世に実在するのだろうか?? 〇情報2:200人の前でドリ畑 初対面の200人の勇者相手に、WEBセミナー(ウェビナー)の講演者として、一方的にドリ畑を炸裂させた、ということか??? 〇情報3:しにたい 逝ってよし 2011年当時、ハスキー同期(ペロ紅パイ太郎氏)の結婚式二次会という、完全身内の80人の前でも当たり前のようにスベっていたのに、一般人の方200人を相手に、しかも令和3年においては旬ではない古畑、古畑ならまだしも完全初見のドリ畑をブッ込んで、スベらないわけがない!!! 補足情報として、 ドリンボ「古畑にあわせて黒の上下とコートも着たのに…」 まじでどうでもいい!! そもそもドリンボが何の脈絡もなく微塵も似ていない古畑を演じていて、その15年以上前に放送されていた古畑は上下黒のスーツを着ていたとか、その時点でついてこれてない人が日本人口の9割9分9厘8毛超えということから見つめ直した方がいい!!! ということでお待ちかね!! 世界中に張り巡らされているわしの変態ネットワークを辿って当該セミナーの録画データの入手に成功したので、人生の時間を捨てる以上に無駄な使い方をしたいひとは、とくとご覧あれ!!! 仕事とかで、近々大勢を前にしたプレゼンを控えている若手の諸君などは、これを見れば何も怖くなくなるはず!なぜなら、これ以上の悲惨な結末が、存在するわけがない!!!! でも見終わった後には純粋な虚無しか残らないであろうから、やっぱ見ないという英断も大いにアリ!!!! 健闘を祈る!!!!! (ちゃんと然るべき人に、動画の掲載許可をもらっています笑) |
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2021 05,25 17:28 |
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時は2021年4月。 マーベリックスは、「グラウンド予定地に芝を植えるイベント」というわし史上未だかつて耳にしたことがない類のイベントに、光栄なことに芝植え役としてお声がけいただいたため、山中湖畔の某所に集まっていた。 山中湖越しに雄大な富士を臨みながら、ポカポカと爽やかな陽気に包まれてピクニック気分で芝植えっ◎、 となることしか想像していなかったが、現実はそう甘くはなかった。 1ケタ代の気温に加え、強風による横殴りの豪雨 悪夢であった。 雨粒が大きくて、瞬間的に風が強くなった時にはまるで冷水のシャワーを浴びているかの如くであり、そこに連日の気温から急に10℃くらい下がった低い気温が加わり、痛いのとか寒いのに著しく弱いわしはものの数分で仮死状態に陥っていた。 そんな環境であったのでさすがにこの状況での芝植えは延期になるだろうと思っていたところで、我らが吉田楓キャプテンは英断を下した。 楓「芝植えやるよーー!!!!」 彼女の誇る圧倒的な身体能力の前では、これしきの天候の乱れなど恐るるに足らずの範囲らしい。虚弱なわしはありったけの服をかき集めて上は5枚、下は3枚を重ね着してもブルブル震えていたが、信じ難いことに吉田キャプテンは寒いとか何も感じていない様子であった。 最近、彼女の雪の降るような真冬でも短パンで練習する異常な感覚や、アルティでのエゲツない暴力プレー(←暴力的な、という意味であり、ホントに暴力をふるっているわけではない笑)の数々を目の当たりにして、わしのなかで「さては吉田楓は、吉田楓の皮を被ったザイオン・ウィリアムソンなんじゃないか?」という疑念が沸き上がっていたのであるが、今回の事案がかなりその疑念を確信に加速させたことは言うまでもない。 さて当初ピクニック感覚で始めた芝植えであったが、全容を知れば知るほど過酷なものであった。 作業としては、土の大地に、一枚45cm×45cmの芝+土のブロックを隙間なく敷きつめてゆくというものであり、芝のブロックが5枚重ねられたものがひとかたまりとして紐でくくられていて、それがグラウンド脇に山のように積みあげられている、という状態であった。 従って、大きく ・グラウンド脇にある芝ブロックのかたまりを、芝を設置する付近に運んでくる ・かたまりから芝ブロックを1枚ずつ取り出し、地面に敷きつめる という作業に細分されるのであるが、特に前者については純粋に力仕事であったので、仮にも男性を自負するわしは前者に積極的に従事することにした。 早速一つ目の芝ブロック×5のかたまりを持ち上げたとき、わしは思った。 わし「尋常じゃなく重い!!!!!!!!!」 何を隠そう、良く晴れたカラッカラの芝や土であればちょうどよい重さなのであろうが、芝のブロックには降り注ぐ雨によって完璧に水が染み込みきっており、恐らく通常の倍くらいの重さになっていた。感覚的に例えるなら、持ち手の不安定さも重なり、60リットルの遠征バッグに荷物をパンパンに詰めたくらいの重量は感じた。 それをブロックの山から片手にひと塊ずつ持ち、ベジガールが敷きつめている近くまで、約20mくらい運ぶ。かたまりを置いたらまた芝ブロックの山に戻り、両手に持つ。そして運ぶ。ひたすらその繰り返しである。 強風豪雨に晒されながら、やばすぎる肉体労働であった。 でもわしが芝の供給を止めると敷きつめ係の作業が滞ってしまうので、休むわけにはいかない。 健気にもわしは移動は小走りで、わき目もふらず無心で芝ブロックを運び続けた。それはまるでダンベルを両手に持ったシャトラン状態であった。 休むことなく30分程度ダンベルシャトランを続け、意識が朦朧となってきて危ない危ないと周囲を見渡してみると、そこに信じ難い光景を目の当たりにすることとなった。 マーベリックスからは今回のイベントに2人の男性が参加しており、1人はわしであり、もう1人はタコ師匠であった。 当然のことながら別グループで作業しているタコ師匠もわしと同じく運搬の力仕事をしているだろうと信じ込んでいたら、なんと細腕の女子たちに混じって芝を敷きつめる係に勤しんでいたのである!!そしてわしですら悲鳴をあげる運搬作業を、ベジガールや、マーベリックス外のボランティアの方にやらせていたのである!!! ブチ殺してやりてぇ!!!!! 過酷な肉体労働のなかでわしの感性もおかしくなっており、この「タコ師匠女子のフリ事件」が発端となって、招待いただいたイベント主催者の前で、まさかの全軍入り乱れての乱闘騒ぎ一歩手前まで発展したのであった。 乱闘騒ぎひと段落し、既に相当疲労していたので残りのノルマの作業量を聞いてみたところ、こんな答えが返ってきた。 「今、四分の一です。」 おしまいdeath ほぼ無酸素運動で30分の芝ダンベルシャトランを続けてまだ四分の一という情報、わしにとって痛恨の一撃であった。わしの例に漏れず、芝植え開始当初は談笑しながら和気藹々と作業を進めていたベジガールたちの口数も時間が経つにつれて次第と減ってきて、終盤にはただひたすら重い雨がレインウエアと、ほぼ水溜りの田んぼみたいになっている地面に打ち付ける雨音しか聞こえなくなっていた。 そんな過酷な状況のなかでも、ベジガールたちは誰一人弱音を吐いて離脱することはなかった。この経験は、試合終盤の辛いなかでの戦いでもうひと踏ん張りしなければいけないときに、きっと活きてくるであろう。(←こじつけ) 芝植え開始から2時間以上が経ち、両手に芝ブロックをもって運ぶ目の前の水溜りの水流が三途の川に見えてきた頃、ようやくその日の作業の終わりが見えてきた。 しかし希望の光が見えてきたところで、わしにこの後この日最大の悲劇が待ち受けているとは、到底知る由がなかった。 作業は大きく2グループに分かれて行っていたので、こちらの作業が先にひと段落したのでわしはもう一つのグループに助っ人として参加しにいった。 そこにはもう既に芝ブロックが必要な分が運ばれている状態だったので、わしは芝を敷き詰める係に加わった。 わしは意を決して、水浸し、いや、もはや水浸しを超えて沼のような水溜りの様相を呈している地面に四つん這いになり、一心不乱に芝のブロックを隙間なく設置していると、頭上から声がかかった。 向井選手「タコさん、あと残りどれくらいなんですかねー??」 あれ?タコ師匠は近くにいたかな?と思って辺りを見回してみると、ヤツはここから10m以上離れた場所で作業している。 どう考えてもわしの前に立つ向井選手の声のボリュームは10m先のタコ師匠に向けられたものではなく、状況的にわし向けだろうと思われたので、勘違いしてるなら返事すれば声でわかってくれるかなと思い、わざわざ訂正することなく、作業しながら答えてみた。 わし「うーん、あと少しってとこじゃないかな?」 ドサッ 答えた瞬間、芝ブロックが四つん這いするわしの顔面の前を通過し、水溜りに落下した。 バシャ!! そして向井選手の高い打点から放たれた、重い芝ブロックが水溜りに落ちた威力による跳ね返りで、地面からの泥水がわしに降りかかった。 えっ? わしの返事を聞いていたのか聞いていなかったのか、はたまたわしの声を認識していなかったのか、向井選手は続けた。 向井選手「タコさんって、」 ドサッ バシャ! 向井選手「両手で、」 ドサッ バシャ!! 向井選手「芝を並べるとか、」 ドサッ バシャ!!! 向井選手「几帳面ですね◎」 ドサッ バシャ!!!!! ええええええ??????!!!! これはいったい何のプレイ???!!!!!!! あまりに狂気じみたプレイ、もといやりとりに恐怖を覚え、わしはここで意を決して四つん這い状態で顔を上げ、向井選手に問うた。 わし「タコさんって、、、、、もしかしてわしのことか???」 向井選手「えーーん、監督とタコさん間違えちゃった~~~、ピエンです~~~~www」 ピエンはわしのセリフじゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 考察してみると、仮に向井選手がわしのことをわしと認識しながら「タコ師匠」呼ばわりしたのであれば、それは最悪のケースである。監督=タコ師匠という構図となり、タコ師匠がチームを監督しようと、わしがオムツ爆竹で自爆プレイをかまそうと、どちらでもよいという事態に陥ってしまう。 次に向井選手がわしのことをタコ師匠と見誤って「タコ師匠」と呼んだのであれば、それは単純にわしにとって忌々しき事態である。わしが監督を気取って普段いくら偉そうにしていても、根っこのところでは「アラフォーのおじさん」としてタコ師匠と一括りに認識されているということであり、タコ師匠との差別化のみを意識して日々生きているわしとしては、非常に痛い。 どちらの場合でも、一言で表現すると、要するに「ピエン」ということである。 マーベリックス設立以来保たれてきた「監督⇔選手」の絶妙なバランスを、まさかの第三の勢力であるタコ側に一気に引きずりおろしにかかるという大胆さをもつ大型新人・向井選手!! 極太の心臓を持つ向井選手から放たれる、相手に致命的な一撃を与えること必至なスローに、今後大いに期待である!!!! |
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2021 05,21 17:55 |
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(この度某氏からの熱い執筆希望があり、筆を取るに至りました。) 読者のみなさんの多くは、業務日誌の更新が滞っていることから、とっくにわしが東京マーベリックスの監督をクビになってやさぐれていると思われていることであろう。 しかし実のところは、まだしぶとく続けさせていただいている。 そしてしぶとく続けているのは、わしだけではなく、東京都聖オゲレツ学園アルティメットヱロス倶楽部VegeGriffonsの誇る伝説の戦士・コースケ、もとい、ハリウッドタコ師匠も、なんだかんだでマーベリックスとの関係を繋ぎ留めている。 賢明な読者のみなさんは思うことだろう。 タコ師匠はマーベリックスで何をやってるの??? 監督であるわしも彼がどういう形でチームにコミットしているかイマイチわからなくなりつつあるので、整理の意味も込めて、ここで振り返ってみたい。 〇タコ師匠の役割1「ドライバー」 タコ師匠は遠方で練習などの活動があると、毎度ベジガールを車に乗せて目的地に連れていくという役割をこなす。帰りも然り。乗せるベジガールは多くいるのだが、噂によると、タコ師匠の駆る車のカーナビには、乗せる全員の「住所」が登録されており、全員を家の前でピックアップしてまわっているとか、いないとか…。 〇タコ師匠の役割2「キャメラマン」 練習の場で、タコ師匠がメンバーに対しアルティメットに関して口を出している姿を見たことは、一切ない。タコ師匠は、無言で、少し離れたところからベジガールを見守ることこそ己の責務という、固い矜持を持っておられるのである。しかしそれだけでは芸がないではないかとばかりに、紅白戦前にベジガールから無言でスマホを渡されるので、彼は少しそのスマホを舐めてから、練習風景の撮影を始める。とあるゲーム主体のメニューが組まれた週末では、土日合わせて「420分」を一人で撮影し続けたという、アルティ界のギネス記録を持つ。その姿を見て某ベジガールは、その様を「風景のシミ」と表現したとか、してないとか…。 〇タコ師匠の役割3「会計係」 タコ師匠と一緒にコンビニに行き、彼がカゴを持ったのであれば、それはフィーバータイムの始まりを意味する。彼はこの個人完結型の会計係という責務に誇りを持っており、例え自分がコーヒーしか買わなくてもカゴをもってアピールを始めるので、彼のためにもチャンスを逃してはいけない。 また自販機でジュースを買うときも、彼は自らは商品のボタンは押せないが、お金の投入口にだけは手が届くという絶妙なポジションをいち早く確保する。それは「みんな早くボタンの前に行列をつくって、欲しいジュースのボタンを押してごらん」という彼なりの合図であるとか、合図でないとか…。 にわかには信じ難い都市伝説が満載である。 と、これだけ見るとタコ師匠はいいようにベジガールに転がされているだけのように感じられ、ムチで打たれてばかりのタコ師匠のことを気の毒に思う心優しい読者もいるかもしれない。 しかしこれだけ蹂躙されてもまたマーベリックスの活動に参加したいと思わせるだけのアメの存在もタコ師匠なりに感じ取っているようで、時にタコ師匠の中の男がそれを奪取してみせんとばかりの迫力を垣間見せる。 コロナの縛りのなかった平和な時代に起きた代表的なアメ案件を、以下に振り返ってみよう。 〇ラッキーパンチラ 練習後、ベジガールが車座になってストレッチをしているところに、突然の全力疾走からの魚雷ダイブ。地面レベルからパンチラを拝もうという、タコ師匠の異常なまでの執念を捉えた貴重な一枚である。 この事件では、井上選手と小田選手が主な犠牲者となった。 〇自爆テロ 暑い日の練習で火照った体を、近くの海でクールダウンしようと浜辺に繰り出した時の話。海という非日常的なシチュエーションに興奮したタコ師匠が突然服を脱ぎ捨て、予め装着していた成人用オムツに連結された2500発の爆竹に点火し、自爆しながらベジガールを追いかけまわすという、悪夢のような事件が発生。 その場に居合わせた15人以上のベジガールが、まさに文字どおり、蜘蛛の子を散らすように逃げ惑ったことは言うまでもない。 〇禁断の香り 合宿ではわしとタコ師匠は施設最果てのタコ部屋に叩き込まれるのであるが、あるとき幹部ミーティングがタコ部屋で行われたときの話。ミーティング中、大橋選手が「タコ師匠のだからケツに敷いていいや」と座布団代わりにタコ師匠の枕に座っていたのを、知ってか知らぬか、ミーティング後にその場にはいなかったはずのタコ師匠の嗅覚がキャッチ。おもむろに顔面から枕に突き刺さっていたタコ師匠は、恍惚の表情で吸引を続けていたとか、いなかったとか。 この事件では、写真がリークしてあろうことか本人の目に入ってしまい、大橋選手は二度と拭い去ることのできない心の傷を負った。 〇夢で逢おうか わしとタコ師匠が合宿に参加するとき、毎度、たくさんアルティを見ているから我々も運動した気になっているけど、実は全然運動してないという事実に気付き悲しい気持ちになるため、2日目の早朝にランニングするというアクティビティが恒例となっている。 ある合宿で、タコ師匠がランシューを忘れてきたときの話。せっかく翌朝ランニングしようにもサンダルしかないからタコ師匠に合うサイズのランシューを持っている人はいないかとチームに投げかけたら、新入部員の向井選手が反応。優しくも得体の知れないおじさんにランシューを貸してくれたのであった。 が、その若手の気遣いにタコ師匠は異常興奮を始め、信じ難いことに部屋に持ち帰った向井選手のランシューと添い寝を決め込むという事案が発生。わしが目を離した隙に、少なからずランシューを舐めていたかもしれない。 新人の向井選手は、マーベリックスに潜むダークサイドの、強烈な洗礼を受けることになったのであった。 〇オムツヘソ出しルックからの場ゲロ あまり詳しく書くとマーベリックスの社会的立場が危うくなってくるため、とある合宿のミーティングで起きた事件の、事実のみを端的に示させていただく。 ・嫌がる田島選手に無理やり成人用オムツを履かせてもらうタコ師匠 ・自宅用にと高島選手からプレゼントされたヘソ出しTを、その場で着始めるタコ師匠 ・オムツ+ヘソ出しTを装着して強引に選手全員の視線を集めた状態で、ドブのような顔面で場ゲロするタコ師匠 現場がこの世の終わりのような空気に包まれていたことは、言うまでもない。 と、健全な精神を持つ人にとってはひどく歪に感じられるかもしれないが、このような形でマーベリックスとタコ師匠との間ではGive&Takeの関係が成立している。 そうなってくると、タコ師匠がこんな過激に扱われている一方で、監督ことわしはどう扱われているの?という疑問も湧いてくることと思われるが、そこには見事なまでのバランスが出来上がっている。 おじさん2人に対し、100対0でタコ師匠が汚れ役を引き受けてくれているのである。 タコ師匠が肉の壁として立ちはだかってくれているおかげで、わしは辛うじて「監督」であるという威厳(?)を保つことができている。 そこの一線は、監督と選手間の暗黙の了解で、今まで守られてきた。 そう、あの日までは… (後編に続く) |
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2020 11,26 18:11 |
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11月吉日。 11月も下旬に入ったというのにコートが不要なくらいの、穏やかな気候の日。 わしは東京のなかでもシャレオツ中のシャレオツエリアこと表参道にある、とっても洗練された空間に潜入していた。 その日の主役は、わしのハスキーズ時代の1コ下の後輩。なのに大学1年生として入部した瞬間からその そう、秀一。 軌道エレベーター(※)のように高みに上ってゆく秀一に対し、彼と出会ってから15年来何も生活水準が変わらないことが明白なクオリティのブログを書き続けているわしであるので、まさか声をかけていただけるなんて夢にも思わなかったが、光栄なことに結婚式にご招待いただいたのである。 ※惑星などの表面から静止軌道以上まで伸びる軌道を持つエレベーター。「宇宙エレベーター」とも呼ばれる。 それはそれは、さすが秀一と唸らせるような、徹頭徹尾、完璧としか言いようがない結婚式であった!! 式場自体も、楽団による生演奏も、お料理も、お召し物も、新郎新婦やご親族、友人のご挨拶も、θの奇人さんによるジャングルクルーズガイド(←チームとしてではなく、個人で単独公演されており、私の知らない類のおクスリを摂取されているに違いない。)も、家に帰ってからのお楽しみである引き出物に至るまで、あまりに完璧すぎた!! わし鑑定で、ランボルギーニ・アヴェンタドールの車体価格くらいはかけないとあのトータルコーディネートはできないであろうと思わせるクオリティであった。もしそこまでかかっていないのだとしたら、それを作り上げた情熱と気持ちは凄まじいものである。 しかしそんな完璧づくしの結婚式に、1コだけ重大なほころびがあった。 それは石橋を叩くよりもハイリスクハイリターンを好む秀一なりの、挑戦だったのだろうか。 わし的な見解では、どれだけハイリスクを冒したところで1ミリもリターンが得られない賭けだと思われたのだが、、、 -- 挙式前の控室にて。 わしは久々の再会となるハスキーズの後輩と談笑していると、何やらゾクゾクとわしの霊感センサーが反応した。 「俺のことを、呼んだか?」 この気配はまさか!!と思いおもむろに入口の方を見てみると。 そこには「ランナ バウ夫」、「関 越夫」、「てっぺん 取り夫」、「ハリウッドタコ師匠」、「伝説の戦士」、「Party King」、「運転手」、「1年生、2年生、2年生、2年生で終わり」、更には普通のことをただ大きい声で言うだけという主旨での「先生」など、秀一と同様に様々な肩書を一手に背負っていらっしゃる男が、圧倒的な存在感を放ちながら屹立していた。 その男とは、 そう、 コースケ 百戦錬磨の闘将のお出ましに一瞬控室の空気がヒリつくような緊張が走ったが、しかし彼は意外と規則の中に生きる人間であるため、結婚式のリスクに成り得る存在ではないことを、わしだけは知っていた。 引き続き、コースケ師匠も交え談笑を楽しんでいると、今度は入口の方からおどろおどろしい濃密な足臭の欠片のような臭気が漂ってきていることを、わしの霊感センサーもとい嗅覚が反応した。 この能力は某炭治郎君がやべぇ鬼の気配を感じるのと、全く同じ仕組みと思われる。 まさかこの感覚は!!!!!と思い入口の方を見ると、 いた。 そこに、 鬼がいた。 その鬼は、「誠意大将軍」、「暴れん棒将軍」、「タイガーウッズ」、「パーフェクトフェイス」、「ベッカムブラピデカプリオ」、「味のする足臭」、「Noと言われない限りYes」、「株の損益-2600万」、「NEET」など、数多の凶悪な血鬼術こと肩書を備えた、リスクの中のリスク。 その、 リスクを地で行く男とは、 そう、 ドリンボ 秀一が、完璧な結婚式のプランのなかに、なぜわかっていながらこんなに巨大なリスクを招き入れたのか、わしには甚だ疑問であり、もはや秀一からわしへの知能戦の挑戦であると受け止めるしかなかった。 まだ何も始まっていない控室だというのに、早速ウェルカムシャンパンをゴブゴブとおかわりしまくっているドリンボを見て、わしは先が思いやられたのであった。 -- 披露宴会場に入ると、まんまとわしはドリンボの隣の席についていた。 主催である秀一の策略であることは間違いない。 完璧な披露宴の進行のなか、わしの隣の席だけは完全に結婚式とは関係のない異常事態が連発されていた。 テーブルに座っている人数の3倍以上の瓶ビールをオーダーし、 高砂の新婦席があけば新婦の残飯に喰らいつき、 会場の撮影係のスタッフがビデオを向ければ高らかに屁をこき、 余興が行われれば隙をついて隣の列席者の食事をかすめ取り、 披露宴の最後の新婦による感動的なスピーチの際には睡眠に入り。 まぁ予想はしていたが、酷い有様であった。 あまりにお行儀が悪いのでちょっとだけお仕置きしてやろうと、ほんの4山だけデザートにワサビを混入してあげたら、この始末である。 ↓ほんのちょっとだけワサビ ↓ワサビを食べたドリンボ 誰も幸せじゃない。 なのに、それを知ってて秀一はなぜ??? はっっっっ!!!!!!! わしの頭に電撃が走った。 以前、アルティの練習か何かの場で、ふと秀一が漏らした言葉。 秀一「頭の悪い後輩はむかつくけど、頭の悪い先輩は見てて楽しいよね」 今回のこの不自然な人選って、絶対これに基づいているよね?!!! 高砂からドリンボがぐちゃぐちゃになっているのを見下ろして、この卑しいピエロめっ、と嘲笑するというプレイを楽しんでいたということだよね?!!!! そして、この記事が投稿されることを完全に想定したうえで、ドリンボの隣にジャーナリストとしてのわしを張り付かせていたという配置だった、ということだよね??!!!!!! 全ては秀一の計画通り、ドリンボの蛮行も織り込み済みで、「完璧」な結婚式というわけなのであった。 参りました。 ということで、末永くお幸せに!! |
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2020 11,24 17:46 |
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2020年11月、わしはワンデートーナメントとして開催されたGAIAカップに参加するため、静岡県富士市は富士川緑地に来ていた。
今回わしが参加させていただいたチームは、「福島塗料雷神」。
元大体の韋駄天さんことタケシをモチーフに2005年に中京・大体の同期チームとして発足し、永らく強豪のイメージを欲しいままにしていたミックスチームである。
しかし近年の高年齢化による同期選手不足の背に腹は代えられず、近年遂にボジョレー解禁ならぬ、禁断の果実こと俺たちベジグリフォンズにも門戸を開かざるを得なくなってしまったという、悲しい歴史をもつ。
そして2020年、またその悲しい歴史は着実に上書きされることとなった。
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「お餅だよーっ、」
「お餅だよーっ」
「けんとさんのつーくったお餅だよっ」
「けんとさんのー、けんとさんのー、」
「1年に1回のプレゼンツー」
オリジナルの、餅つきの歌らしい。
15年ほど前の我らがハスキーズに所属していたとある奇人のお方による作詞・作曲なのだという。
脱線するが、当時のハスキーズの面々は以下に紹介(一部のみ)するように、とてもバラエティーに富んだメンバーで構成されていた。 現代を生きるハスキーズの後輩諸君は、学生選手権での優勝を目指すため、是非先代の生き様を抑えておいてもらいたい。
------------------------------------- <ハスキーズ豆知識>
◆10代 「エレカシさん」…顔面がエレファントカシマシ
◆11代 「ハラスさん」…キャンパスの校舎の前で、ゲリラ餅つき 「ピンクさん」…4浪とかしてて髪がピンク 「廃人さん」…ある日髪と眉毛を完全剃毛 「将軍さん」…脱糞 「恥骨さん」…他大生なのになぜかキャンパスを徘徊し、車暮らしするホームレス。正確にはハスキーズではない
◆12代 「ドリンボ」…卒業の年の最終学期に必修の体育の単位を落とし、卒業を賭け、坊主にして教授に土下座 「ラーメンマン」…デフォルトで備える達者なトークと迫力の顔面に加え、学生なのに辮髪にヒゲという圧倒的なビジュアルをオプションで追加し、アルティ以前に対戦相手を最大威嚇。脱糞。別名尾中部長 「タンクさん」…学校での尿検査の際に尿ではない飛翔体を提出し、再検査 -------------------------------------
さてお餅の歌に戻るが、ふと我に返ると今は富士で試合中だし、餅つきも行われていないが、達者なトークと迫力の顔面が今も健在の尾中部長が歌っているのだから、仕方がない。
雷神というチームは、見事に二面性のあるチームだと考察する。
尾中部長&コースケ師匠&わし「じゃあ3点差つけるまではタケシ、エマ、志村さん、ハマちゃん、石野氏が連チャンで出ていただいて、俺たちはその後から出るんで、お願いしマーース!!!」
試合前のメンバー決めのシーンでの発言である。
俺たちベジグリフォンズは、胸を張ってうまい人たちに出番を譲る。最終的にチームとして勝てばよいのであり、そこにプライドなぞ無い。むしろ貢献である。
このように、試合のコート内では、男でいえばタケシ、エマ、志村さん、ハマちゃん、石野氏といった正統派の戦士たちが躍動するが、試合中のサイドラインや試合間のテントでは、俺たちベジグリフォンズの尾中部長やコースケ師匠がここぞとばかりに場を支配する。(そしてわしは一歩引いて、取材する)
見よ、尾中部長の、この、テントでのポジ取りを!!!!!
試合中はあれだけ存在感を消しているのに、テントではドセンターでの鎮座を決め込み、試合間の短い休憩時間の間でも痴話ばなしを回すこと回すこと!
しかし悲しきかな、そんな確立された二面性を表現し、試合中にサイレントモードを決め込んでいても、どうしても視聴率が高くなってしまうという瞬間は、ひと大会に1回は遭遇してしまう。
それは「スカイスクレイパー」という、関西のイケイケ学生連合チームとの対戦中のこと。
雷神での俺たち捨て駒Dセットは、イケイケの若手選手にどうやってもマンツーマンでは通用しないので、なんちゃってゾーンやなんちゃってジャンクで挑むことが多い。
例に漏れず尾中部長を番長(DD)に据えてなんちゃってゾーンを仕掛けていたら、ヘアーのサイドがバキバキに刈り上がりかつこんがり日焼けしているという出で立ちの、あからさまにイケイケの学生くんから、奥に仕掛ける走るイケイケの学生女子に対してロングがうたれた!
満を持して迫力の顔面のみでカットを狙いにいく、サイレント番長こと尾中部長!
若干の浮き球に対し、女子選手に加え男子選手もフォローに入る!
しかし年長者の卓越した球読みで、完全に落下点を先取りする尾中部長!
この勝負、勝敗の行方やいかに?!!!!!!
尾中部長、先にポジ取りしていたのに、女子に上競りでブチ獲られる!!!!!!!
そしてなんと、遅れてフォローに入った男子選手にも同時キャッチされている!!!!!!
尾中部長、この3人による混戦の競り合いのなかで、なぜか全くディスクに触れることができず!!!!!!!!!!
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「お餅だよーっ、」
「お餅だよーっ」
「けんとさんのつーくったお餅だよっ」
「けんとさんのー、けんとさんのー、」
「1年に1回のプレゼンツー」
でも大丈夫。
俺たちの活躍の場は、コート内ではない。サイドラインであり、テントであるゆえ、何もダメージは無いし、何も引きずることはない。
そう、アルティは生涯スポーツ!細く、安く、長く、俺たちベジグリフォンズ!!!!!!!!!
この情勢のなか本当に大変な開催であったと拝察いたしますが、完璧な管理下で運営いただいたおかげさまで、安全に、そして本当に楽しい時間を久々の仲間と過ごすことができました。
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2020 11,10 20:44 |
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11月の某土日に、東京聖オゲレツ学園アルティメットゑロス倶楽部VegeGriffonsマーベリックスことヘーベジの企画により、MUD、HUCK、スワンピーにヘーベジを加えた4チームによる、試合形式の合同練習が行われた。 まずは各チームの皆さま、ヘーベジの企画に賛同いただき、コロナ対策も徹底したうえでお集まりいただきありがとうございました。この場(最も不適切な場という噂もあるが)を借りてお礼申し上げます。m(_ _)m さて振り返ってみると、2日間の合同練習は滞りなく、万事順調に進んだように感じられたかと思われるが、あのなかのほんの10人にも満たない人だけが巻き込まれた事件が発生していた。 それは土曜朝イチの、グラウンドへの集合時間付近でのこと。 ---------------- わしはこの合同練習会を迎えるにあたり、並々ならぬ期待と、同時に不安を抱いていた。 ヘーベジは結成して2年になるが、実はこれまで万全の状態で先の強豪チームと対戦できる機会がなかったのではないかと思われる。 ある大会ではコチラの戦力が極端に少なかったり、ある大会では身の危険を感じるほどの暴風で、なかなか実力が測りづらいような環境だったり。 で、満を持してこの合同練習会。 今回ヘーベジはフルメンバーであり、天候にも恵まれ、今回ばかりは言い訳のしようがない状況のなかで、果たして諸先輩方にどこまで通じるのか?? まだまだ経験の浅い若いメンバーたちではあるが、強い信念に基づき、チーム一丸となって取り組んできたのだから、絶対通用するだろう!という大きな期待を抱く。 半面、その期待を無残に打ち砕かれるほど強豪の壁は高かったらどうする?仮にも監督という立場でチームに関わっているわしは、ヘーベジのアルティが全く通用しないことを目の当たりにしたとき、チームにどうやって説明し、モチベーションを保たせる??いや、そんなことが起きてしまったら、まずはわしの進退から考えてもらった方がよいのではなかろうか??? 考え始めると、ついつい心はダークサイドに引き込まれていった。 イカンイカンと我に返るが、頭ではそんなことやってみなければわからないとわかっていても、体はなかなか不安を払拭できないようで。 錯乱したわしは、もう11月だというのに、朝6時、グラウンドへ向かう高速道路を、気付けばコペンをオープンカーにして爆走していた。 更に、気を紛らわせるためにはオープンだけではまだ足りぬとばかりに、いつにないほど爆音でハードな音楽をブチかましていた。 その様を近くで見た人に、さながら走るクラブといった印象を与えるには十分の状態であったであろう。 高速を降りて一般道に入り、少しずつ集合時間が近づいてくるにつれて、ヘーベジのLINEグループにいろいろ情報が流れ始めた。 「今日の駐車はトイレ側に詰めて止めてください」 「2列で止めてください」 おお、だいぶ集合時間より早いけど、ヘーベジは企画側としてコートの設営などの準備もあるから、準備係の人はもう着いているのか、感心感心! そんなことを思いながら、わしのコペンもグラウンドまであとコーナー2つ。 もうみんなと合流してしまったら後戻りはできないと、わしの緊張、不安もMAXに達したところで、オープンコペンから流れる音楽のボリュームも確実にMAXであった。 どれくらいMAXかというと、再生するスマホのボリュームもMAXであったし、コペンのプレイヤーのボリュームもMAXになっていたので、モノホンのMAXであったことは間違いない。ちなみにそのときかかっていた曲は、モンパチの「小さな恋のうた」だったと記憶している。 最終コーナーを曲がると、グラウンドにはまだ誰も準備に入っていないようであったが、グラウンド前の駐車場には車が2台並んで停められているのが見えた。 おお、みんなもちょうど着いたばっかりだったか、よかったよかった!早くみんなに大きな声で挨拶して、自分の気持ちを落ち着かせよう、と決心し、わしは停まっている車の左側のスペースに向けて、まるで狙いを定めた魚雷のようにすさまじいスピードで突入した。 わしのはやる気持ちを抑えきれないのがコペンにも伝わったのか、最大ボリュームで「小さな恋のうた」をブチ流すコペンは、誇張なしに駐車場の砂利道で慣性ドリフトをブチかまし、あと30cmで魚雷着弾というすれすれのところで停まっている車のすぐ横にベタづきすることに成功した。 わしがギラギラとした目で車をガン見していると、ベタづきされた車の前と後ろのパワーウインドウが同時に開き始めた。 そしてわしは中のメンバーの顔が確認できた瞬間に、煉獄さんばりに毅然とした挨拶をブチかましてやろうと待ち構えていると、遂にウインドウが開き終え、車内に同乗している4,5人の顔を見渡してみると。 やべぇ、知ってる顔じゃねぇ わしの中の煉獄さんは一瞬にして鳴りを潜め、おはようの挨拶の前にまず最大ボリュームとなっていた小さな恋のうたのボリュームを常識の範囲まで下げることしか、わしに許された選択肢はなかった。 まさかの車間違いでわしは壮絶に動転していたが、間違いなくその状況でわかることは、車内にいた漏れなく全員が、完全にゴミを見るような視線でわしを貫いていることだけであった。 その後のやりとりは、まさに地獄の沙汰であった。 わし「あ、あ??あれ????あ、、、おはようございます。。。。」 スワンピーさん「あ、、、、、おはようございます。。」 わし&スワンピーさん「・・・・・・・・・・・・・・・・・」 詰んでいた。 わしは想定の真裏を突かれて何も会話の続きが頭に浮かんでこず、スワンピーさんも突如爆音オープンのコペンが慣性ドリフトかまして魚雷のように車の横に突っ込んできて何のキチガイかと最大に警戒されており(←あたりまえ)、場は膠着しかけていた。 しかし心優しいスワンピーさんは、場を覆っている絶対零度のバリアを固着させることなく、突如現れた露骨な不審者を警察に通報するどころか、気を利かせて話を繋いでくれた。 わし「???!!あれ??????」 スワンピーさん「え、、、、あ、ずっとオープンにしてこられたんですか???」 わし「あわわわわ、、、あ、、ハイ、そうなんです、オープンにしてきたんです。。。!?!」 スワンピーさん「へーー。。。。。。。。」 終わりまくっている。 これ以上終焉を感じさせる朝の挨拶がかつて存在しただろうか。少なくともわしのアルティ歴史上では、ここまで終わっている対戦相手との邂逅は経験したことが無い。それは、車内のスワンピーさんたち全員の表情が苦りまくっていることが証明している。 しかし少しずつわしも正気を取り戻してきて、確認すべき事項が頭に浮かんできた。 わし「あ、そうだ、マーベリックスの人って、見かけませんでしたか、、、、????」 スワンピーさん「いや見てないですよ」 わし「そおですかっ!!!!失礼しましたーーーー!!!!!!」 わしは逃げた。 この界隈にわしの味方はいないと認識した瞬間、わしはコペンのギアをバックに叩き込み、フルスロットルでスワンピーさんが車を停めているエリアから脱出し、少し離れたところにあるトイレの建物の陰に隠れた。 もちろん少しでも気配を消すため、さきほどまでは出力し得る最大ボリュームだったのに当然のミュートまで音量を下げ、動揺のためオープンにしていた屋根を戻すことなくそのまま車両を放置して、わし自身も物陰に隠れた。 しばらくしてヘーベジのメンバーも到着し始め、わしも物陰から動き出してグラウンドに入ろうとすると、さっき車から話しかけてくれたスワンピーさんが、すれ違いざまに声をかけてくれた。 スワンピーさん「おはようございます◎」 わし「お、お、お、おはよようございまsす」 さっきカオスすぎてちゃんとできなかったからか、改めて挨拶してくれた。 なんて優しい!!!!! そしてそれと反比例して自分の小ささにしにたすぎる!!!!! また一つ、わしはアルティ界での居場所を自らの手で消失させたのであった。 |
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2020 09,29 18:24 |
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9月某日、灼熱の夏の終わりを感じさせる肌寒さに秋雨のパラつくなか、東京西部某所のグラウンドに、アルティ界の記憶から消去されつつあるレガシーたちが集結していた。 そう、略称・東京VegeGriffonsのおじさんたち(+奇特な若手部員)は、なんとその日11人も集まっていた。 なぜそんな大勢が集まったかというと、男性として見向きもされなくなって久しいおじさんたちが、急に元・平成VegeGriffonsこと東京オゲレツ学園アルティメットゑロス倶楽部VegeGriffonsマーベリックスからの合同練習のお誘いという露骨なハニートラップを受けて、それに安々と引っ掛かったからに他ならない。 両チームグラウンドに入り練習の準備をしていると、とある不審者の登場にわしは二度見、三度見した。その男性は、これからアルティをする人種としては到底似つかわしくない風体であり、明らかに無目的なまま迷い込んできたように思えた。 その日は雨ということもあって気温も急に下がり20℃を切るような肌寒さであったが、その男性は真夏と同様の半袖短パンという出で立ちであった。 今は令和の時代なのにそのシャツには1990年代後半に一瞬だけ流行ったシワ加工(但し男性が着ているシャツには本来その加工は施されていなかったと考えられる)が、そしてその短パンには深いダメージ加工(但しデニムではなく、ポリエステル素材でポケットが8コくらいついている謎短パン)が施されており、その裾を見るともはやフリンジかというような具合に繊維が飛び出しまくっていた。 明らかに場違いな雰囲気を醸し出しているその男性に対し、わしはマーベリックスの監督でもあるので、付近をウロつかれて良からぬ事件に発展することを未然に防ぐため、お引き取り願うことを決意した。 意を決してわしは男性に近づくと、少し認識するまでに時間を要したが、その顔面を見て衝撃を受けた。 その、わしの記憶では基本鉄道の高架下でしか見かけることのない非日常的なファッションを着こなす男性とは、当ブログ久々の登場となる、 そう、 ドリンボ 栄枯盛衰ここにあり!とばかりに、古人の残した四字熟語を見事なまでに個人で体現されていた。 久々に集まったトーベジの動き出しはひどいものであった。 アルティのアップの最初歩であるスクウェアドリルの距離を走るのもギリギリといった有り様で、「先出しNG、マイナスNG、頭より上NG、膝下NG」を満たさないスローはあたりまえのように大地に吸い込まれていった。かといって「キャッチがんばれ!」と言うと肉離れで試合までに3人は消えてスクラッチになることが予想されたため、極めて緩く、もとい入念にウォームアップを行っていった。 そして遂にメインイベントの時間がやってきた。 トーベジにとってトーベジメンバーオンリーでの対外試合は、コロナ(+高年齢化)のせいで今シーズン最初で最後になるかもしれないという可能性があったため、全員本ユニ着用という気合の入れようで挑んだ。 試合序盤、トーベジは劣勢に立たされていた。 相手が女子だからという安易すぎる気の緩みにより、まんまとロングを連続でブチ通されるなどで失点を重ねた。 なかでも芸術点が高かったプレーをかいつまんで挙げると、奥勝負のディフェンスで吉田楓エルサぴょんチャレンジに挑んだガボンに関しては、シュートをうたれてから完全にバトルモードの男ダッシュを繰り出したものの全く距離が縮まることなく、更にキャッチされる際には背後からAUDLばり無駄イブをかますも掠りもしないで大地に墜落されていた。 そして我らがコースケ師匠も、以前上競り勝負でブチのめされオシマイDEATH判定を喰らった、こちらも宿敵・吉田楓選手のミートに完全な男ダッシュからのダイブカットを試みるも、同じく1ミリも掠ることなく地面に着弾、無様に転がっている間にノープレッシャーのロングを投げられ失点するという、さすがの撮れ高を提供してくださった。(そしてコースケ師匠はこの激安プレーで右ハムストリングを軽く肉離れ) 出だしにヘーベジにいいようにやられたトーベジのおじさんたちは、その瞳に少しずつ、遠く忘れかけていた闘争心の火を灯し始めてきていた。 と共に、雨による気温の低下と気合の高まりが相まってか、おじさんたちの体から蒸気のように白い煙がシューシューと立ちのぼり始めた。 わしは何の気なしにそのおじさんたちの集団から立ち上る白い煙に近づいてしまったとき、とてつもない事実に気付いた。 ぐはぁ!!!! この白い煙に配合されている濃密すぎる加齢臭がやべえええ!!!!!!! わしの嗅覚は人より敏感で繊細であることは有名な話(※)であるが、ドラゴンボールのオーラのようにたちのぼるおじさんたちの白い煙は、もはやSOTGで身体接触や危険プレーと指摘されてもおかしくないほどの破壊力、いやむしろ暴力であった。 ※練習後のドリンボの足臭がやばすぎて、わしが嗅いだらニオイを超えて味がするという人体の神秘が起きたため、メシ屋でドリンボの足臭をおかずに白飯を食うという拷問を受けた わしは毎度ラインナップの際に一番端っこに、更に隣の人からちょっと距離遠めの位置に並んでいたが、それはわしがもし左右から白い煙に包まれてしまった日には、わしはスローオフが投げられる前に鼻インジャーでの交代に追い込まれる可能性があったことが理由である。 序盤は接戦だったものの、ある時から、最初の猛攻が嘘のようにヘーベジのオフェンスは崩れ始め、5連続ブレイクというまさかの展開に陥っていた。 その不可思議な崩壊の兆候を、監督たるわしは見逃していなかった。 その“ある時”とは、トーベジがゾーンをかけ始めたタイミングと完全一致しており、白い煙を噴出するおじさんのカップに囲まれたヘーベジのハンドラーの目が、至近距離で煙を吸引する時間が蓄積されるにつれて次第に目が虚ろになっていっていたように思われた。 そして嗅覚的暴力を受け続けて脳の神経回路が遮断され、意識がかすみ始めたと思われるヘーベジハンドラーは、普段では信じられないくらいスローを刺し始めたのである。 トーベジによるアルティ外の攻撃は、ニオイだけには留まらなかった。 先に登場したドリンボが、まるでそれが彼の存在意義かのように、コート内外でヘーベジの精神を削る攻撃を仕掛けていた。 ヘーベジがタイムアウトをとり今後の展開について集中して話しているとき、コミュニケーションを図るつもりなのか図るつもりがないのかわからない、微妙な距離をとったドリンボは、放送コードを軽く突破している顔面を携えて謎の「ハイ◎ハイ◎」という相槌ちを連呼。 一見、ドリンボは人類史上最高水準のガン無視を享受している、かに思えた。 しかし後日談、ヘーベジの某O橋選手は、遠目に視界に入るその頷きが本当に気持ち悪すぎて、全くもって冷静に話し合いができる心理状態ではなかったと語っていた。 白い煙攻撃にグロい頷き攻撃だけでも大概のものであるが、最後にとっておきの、ヘーベジにとって完全にトドメとなる一撃が繰り出された。 コースケ師匠は、ヘーベジにおいてコーチと書いて実際には送迎ドライバーを熱心に務められているが、練習のときにはアップに参加したり、身内の紅白戦の撮影なども精力的に行われている。 そのためこれまでの練習参加経験から、ヘーベジのいくつかのセットプレーを把握されている。 試合中、ヘーベジによる見事なセットプレーが炸裂し、あまりの統率のとれた連携にさすがのトーベジの一人が気付き、何の気なしに発言した。 トーベジ選手「おおー、今のってセットプレーなんですかねー??」 仮にわしがたずねられたとしたら、「ふふ、そうかもね~」くらいにはぐらかしていただろうことは想像に易い。 当然、実際にたずねられたヘーベジのコーチ・コースケ師匠も、毅然とした佇まい、そして穏やかさの中にも深い怒りをにじませた厳粛な口調で、答えた。 コースケ「今のはまずこの人がこう動いてね、で次の人がこうハケてね、そうするとここにスペースが生まれるから、そこにロングパスを通すというセットプレーなんだよ◎」 完全リーク 許されることではない。 チームから仮にもコーチと呼ばれる人物が、指導しているチームのセットプレーのデザインを対戦中の相手にリークするという、指導者として究極の禁忌をいとも簡単にお破りになられた。 練習後、セットプレーがリークされていた事実がヘーベジに伝えられると、見事にヘーベジの漏れなく全員からゴミを見るような痛烈な視線を浴びることになったコースケ師匠であったが、その顔面に至高のエクスタシーが浮かびあがらせていたことはもはや説明不要の伝統芸能である。 今後どうやってこの落とし前をつけるのか、どれだけ予定前倒しで中型免許の限定を解除してマイクロバスを発動するようになるのか、逆に漢としての矜持に期待である。 そんな様々な工作活動の甲斐あって、トーベジはシーズン初の対外試合に勝利。 一方トーベジお得意の心理作戦にペースを乱され敗北してしまったヘーベジの諸君は、なぜここまで崩れてしまったのか心底わからず、みな釈然としない表情をしていたことはとても印象深い。 そんななか、ヘーベジメンバーの帰りの車でのもっぱらの話題は、 「ブログでしか認識していなかったドリンボだけど、少し接触しただけでもわかるサイコパスだった」 何をどうやったら、たった数時間の接触で人は初対面の人からそんな評価を得られるのだろうか・・・? |
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2020 09,10 18:30 |
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もはや週末の小岩ではぐれメタル級の遭遇率と化している我らが東京聖オゲレツアルティメットゑロス倶楽部VegeGriffonsであるが、最近参加者の平均年齢上昇が著しい。 先日の練習には7人の戦士が集まったが、平均年齢は32歳を突破しており、当然というかなんというか、戦いに身を置くための体をした戦士は皆無。みな長い間社会に揉まれ、ゆるゆるのわがままボディに身を包んでいた。 しかしながら、せっかくはぐれメタル級の出現率の俺たちが7人も揃っているのに、なぜかどのチームも対外試合の相手にしてくれないどころか近くを通っても視線すらあわせてくれず、まるで空気のような扱い。 世知辛い世の中である。 誰も相手してくれないので身内で3対3をするしかなかったのだが、わがままボディの俺たちは5分もプレーすると疲れてしまう。 そして迫力の顔面と達者なトークだけは顕在の尾中部長(現在、戦略的社会的無所属)が社会情勢に対して持論を展開すれば、なんとなく知ってるワードとイメージだけで薄く平たくコースケ師匠が安々しくトークに乗っかり、更にはメシ泥棒を繰り返し滋賀の農家から東京の一部上場企業社員に成り上がったとのいけがハッピーエンドの見えない体重トークで散らかし、気付けば15分が経過。 ふと話し過ぎであることに気付きアルティに戻るが、5分すると疲れ、また休憩。 その繰り返しであり、「トークメインなら涼しい居酒屋で冷たいビール飲みながらでいいんじゃね?」という元も子もない発言まで飛び出す始末。 今となってはそんな俺たちだが、昔は土日の練習は当たり前であり、最盛期は毎回20人近い戦士が集い、バキバキに切磋琢磨していたものである。 俺たちがまだ上位を目指してた時代の、とある大会直前の小岩での練習の日の思い出。 無事に練習を終え、誰かの声掛けによって小岩駅前でゲリラ的に決起会が行われることになった。 俺たちは若く、元気と食欲は人一倍あるがお金は全然なかったため、今のように値段を気にせず居酒屋にブッ込むなんていうことはできなかった。 とにかく安そうな店を調べた結果、イトーヨーカドーから線路沿いに少し進んだところにある、少し古びた和テイストの店に入ることにした。 店に入ると店員さんと呼んでいいのか女将さんと呼んだ方がいいのか、老婆が接客してくれ、2階にある広めの宴会席に案内された。 老婆「ごめんねー、今、前の宴会が終わったばかりで少し片づけに時間がかかってしまうから、少し待っててねー。」 老婆の言う通りほんの少し前まで盛大に宴会が行われていた模様で、テーブルたちのうえには所狭しと残飯の残った皿が並んだままになっていた。 言われるがままに少し待っていたが、老婆が一度外したが最後待てど暮らせど店員さんは現れなかった。 いい加減シビれを切らしたガーソーが、視界に入った老婆に尋ねた。 ガーソー「片付けまだですかー?」 老婆「ごめんねー、実はこの店今日が最後の日で、今動ける人数が少ないのよねぇ…。」 なんとそのお店の最終日だったらしく店員さんは既にかなり少ない状態でまわしており、老婆と他数人ではなかなか宴会場の片づけまで手が回らない状態だったらしい。 そのことを気遣ったのか、ガーソーが誰も予想だにしない今世紀イチの男気を見せる発言をした。 ガーソー「じゃあ、僕たち人数多いので、片付け手伝いますよ!!!」 どうだろう! これがゴキブリのように理不尽に忌み嫌われ続けてきた東京聖オゲレツアルティメットゑロス倶楽部VegeGriffonsの、表の世界では見せないホンモノの紳士の姿である! アルティメットのシーンでは対戦相手に紳士の心でディスクを譲るのと同じように、目の前で老婆が困っていれば、喜んで手を差し伸べるのは俺たちゑロス倶楽部にとって呼吸をするが如く当たり前のことなのである! 思いもよらないガーソーの男前な発言に、逆に老婆は困惑の表情を見せながら言った。 老婆「そう…?悪いねぇ。そうしたらこっちの方に重ねてお皿を集めておいてくれるかしら。」 老婆の指示に対して、一片の曇りもない表情をした紳士の鏡ことガーソーは言った。 ガーソー「わかりました、そのようにまとめておきます!ちなみに皿をまとめるときに残飯が邪魔なので、それは僕たちが食べてもいいですか???!!」 は????? 俺たちだけではない、老婆も完全に「は??????」のお顔をしていらした。 しかしあまりに理路整然と、さも当たり前のようにキリっと言い切ったガーソーを前に、老婆はこう返すことしかできなかった。 老婆「え、あ、ええ。。。食べてもいい、けど???」 ガーソー「ありがとうございます!じゃあみんな片づけるぞ!」 老婆の長きにわたるお店での客相手の経験のなかでも、前の客の残飯を食ってもいいかという提案をしてくる客は、未だかつていなかったのであろう。 可哀想に、老婆は毅然としたガーソーの勢いに飲まれて正常な判断能力を失い、客に残飯を食わせるという蛮行に加担してしまった。 コロナ禍の現在においては、これでクラスターが発生しようものなら犯罪級の叩かれ方をすることは間違いない行為である。 ガーソーの号令にもとづき、俺たちは人数にものをいわせ残飯の皿を「食えそうなもの」と「さすがに下げてもよさそうなもの」に選り分け、テーブルの上を整えた。 「さすがに下げてもよさそうなもの」の皿が下げられてからほどなくして大量の瓶ビールが出され、入店から少し時間は経ったものの晴れて決起会の乾杯となった。 一見するとテーブルには料理が並び、各々がコップにビールが注がれているいわゆる宴会の風景なのであるが、各皿を注視するとその異常さは格別のものであった。 わしは今でも脳裏に焼き付いている。 わしの目の前にある皿に載っている春巻きには、得体の知れない誰かによってかじられた跡でしかあり得ない、歯型がしっかりとついていたことを。 そんな異常事態のなか、恍惚の表情を浮かべたガーソーは言った。 ガーソー「はっはっは、他人の残飯をつまみに酒を飲むとは、俺たちも来るところまで来たなぁ!!!」 いやいや「俺たち」と一括りにしておられるが、この常軌を逸した異常事態を招いたのは完全にあなたの仕業である。 そう、俺たち、日々地球のエコを追求し、困っている老若男女には迷わず手を差し伸べる、説明不要のリアルガチ紳士集団、東京聖オゲレツアルティメットゑロス倶楽部VegeGriffons!! |
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