2025 05,15 19:54 |
|
2022 10,20 03:40 |
|
----------------------- しがないわしの選手時代、普段多くを語らないわしの尊敬する先輩選手(Yoshio氏)が、世界大会の切符を勝ち取るために避けて通れない、格上相手との試合前に急遽チーム全員を集め、円陣を組み、語った言葉がある。 「みんなはこれまで何十、何百と試合を経験してきたと思う。でもこの後に迎える試合は、普段の試合とは性質が異なるものであり、勝つか負けるかで、(アルティ)人生が変わる。人生を賭けた試合である。この試合はそういう試合であることを明確に認識しなければいけないし、絶対に勝たなければいけない。」 語った当人はこの言葉を語るに相応しい人格・実力・実績を兼ね備えていたこともあり、この後迎える試合に対してそこまでの覚悟を持つという発想がなかったわしにとって、この言葉は一生忘れないであろうインパクトをもたらした。 本当にその通りだった。世界大会とは4年周期であるが故に、チームのなかには、これが最初で最後のチャンスとなる人も少なからずいることであろう。 「人生を賭けた試合」 これだけは絶対に照準をズラすわけにはいかない。 わしのアルティ人生で、最も「勝つことの意義」を思い起こさせてくれた言葉である。 ----------------------- 【1200日目】 遂にやってきた。 2021年10月9,10日、「文部科学大臣杯第46回全日本アルティメット選手権大会・本戦」。 常日頃この日へのカウントダウンを示し、現状で達成すべき戦術的目標全体の何%が達成されていて、残りの日数でどれだけ伸ばさなければいけないのか伝え続け、1%でもそれを伸ばせるよう、努力を積み重ねてきた。 構想全体の70%。 それがカウント0時点での達成度という評価だった。 しかし、100%は世界との戦いも含んだ数値だったので、70%まで達していれば、少なくとも以前のようにダブルスコアで負けるようなことはあり得ず、優勝を目指すと公言しても恥ずかしくないレベルだと見積もっていた。 チーム結成時に掲げた目標「2022WUCC出場」のために用意された切符は、なんとたったの1枚。 すなわち、マーベリックスにとって初の本戦出場(前回は予選敗退)で優勝しなければならないという、前代未聞のノルマが課せられていた。 第1試合、東北の雄、JANDLUX。 まさに約2年ぶりとなる大会の場で、地道に蓄積してきたマーベリックスのアルティを炸裂させてくれ!!!!! と意気まいていたが、フタを開けてみたらとんでもない事態が発生した。 マーベリックスの選手たちは、久々の“大会”という場に、ガチガチに緊張していた!!!!!!爆 右手と右足を同時に出して走り出す選手や、何も段差がないところで転倒する選手、しまいには謎の口論を始める選手!! あれ???!!!! 戦術の表現はどこにいった?!!!!爆 競った展開となったハーフタイムで、「とりあえずみんな落ち着いて、練習どおりのプレーを出そうね」とだけ言って送り出し、ようやく落ち着きを取り戻してきたのか、少しずつ戦術が出せるようになってきた。 vs JANDLUX 15-8 〇 点差以上に危ない試合であった。 全日本選手権の本戦に出るのが初めてという選手が大多数(全員?)という状況が、こんな大崩れを引き起こすこともあるのかと、経験値の大切さというものを実感させられた試合であった。 第2試合、日本体育大学。 前回全日本選手権の予選でボコられ、予選敗退に追い込まれた相手である。 そしてなんと、マーベリックスの全員が学生時代から今日までに日体に勝った経験がないという、圧倒的な苦手意識!!!爆 初戦のヤバいテンパり&日体への苦手意識から、チームにはなんともいえない緊張が張り詰めていた。 一回も勝ったことがない相手に、同じメンバーで1,2年練習しただけで、ホントに勝てるものなの???? そして、試合開始。 初戦でだいぶ場慣れできたのか、マーベリックスは落ち着きを取り戻し、本来のマーベリックスのアルティを表現できるようになっていた。 ポジショニングがずれ、いつもと違うプレーを強いられたときは、ことごとく競り負けたり、カットされた。 しかし総じてOFもDFも、戦術的に、確実に、日体相手に通用していた。 vs 日体 15-10 〇 遂にマーベリックスの選手たちは、学生時代に越えられなかった壁を越えた。 この勝利は、選手たちに大きな自信をもたらすことに繋がった。 第3試合 準決勝、MUD。 遂にやってきた。 マーベリックスが日本の強豪チームに食い込んできていることを証明するために、そしてWUCCへの切符を勝ち取るために、避けて通ることができない相手。 一年半前まで、ダブルスコアでボコられ続けてきた相手。 コロナ禍の身内だけの練習で、ダブルスコアを覆して、“善戦”だけではいけない、“勝利”しなければいけない相手。 正念場とは、まさにこの試合のようなことを指すと感じた。 だからわしは、満を持してここで冒頭の「人生を賭けた試合」について、選手たちに伝承した。 しかしながらわしがこのことを語るにはまだ未熟だったようで、途中嚙み倒して何が何だか分からない展開となり、選手たちに真に響かせるには至ることができなかったのは、とても残念であった。南無阿弥陀仏 そしてなんやかんやあって、人生を賭けた試合が始まった。 vs MUD 12-13 ✕ ユニバースでの、敗戦。 今思えば、この1点差は、もしかしたら裏目に出続けたセットの采配をわしがもう少しうまくコントロールできていれば覆っていたのかもしれないと思うと、無念すぎた。 マーベリックスのアルティはMUD相手にも確かに通用していたが、試合中盤から、こちらの苦手部分を徹底的に突かれたと感じた。 敵ながらその割り切った采配はアッパレだと思った。 試合を振り返ってそんなことを思っていると、試合を終えたマーベリックスの選手たちの顔が目に入ってきた。 わしが監督を務めてきてから、途中もちろん厳しいことや辛いこともあったなかでも、わしのなかで覚えている彼女たちの表情のほとんどは笑顔だったのだが、今は全員の顔から表情が失われており、当たり前の現実に直面して愕然とした。 そして焦った。 わしは勝つことを信じすぎていたために、負けて、世界大会の切符も失ったときに選手にかける言葉を、準備していなかった。 それでもやはり、試合を締めるために、何かしらの言葉を選手たちにかけなければならなかった。 そういう状況に追い込まれて初めて頭を働かせてみると、わしはピエロになってでもみんなの笑顔を取り戻したい!!!というのが本心、本音なのであったが、「監督の責務」はそれを許してくれなかった。 わし「負けた事実は覆すことはできない。もちろん負けて、目標を達成できなかったことは残念なことだけど、事実を覆すことができない現状、我々ができることは、可能性に賭けてあがくことしかない。可能性とは、現在1枠しかない枠が、広がることである。そしてそれが現実になったときのことを想定して、少しでも世界へ行くためのを可能性を上げるためにできることは、一つでも順位を上げること、すなわち次の試合に勝って、3位で終えることである。泣いてていいのはあと2分。その後は次の試合に向けて切り替えるように。」 わしは物理的には泣いていなかったが、心では泣いていた。 そんなわしが心を鬼にして話したことは、同情の要素のない、痛烈にドライな言葉であった。 監督として、本当に辛い瞬間であった。 第4試合。 vs HUCK 15-9 〇 創設以来経験したことのない喪失感を乗り越え、マーベリックスは全日本3位を掴み取った。 そして、チームとして掲げていた「2022WUCC出場」の目標を達成できないことが明確となったこの日をもって、その目標に導くことが責務であったわしは役割を終え、監督を退任となった。 ~~~ 全日・本戦の翌週か翌々週に、打ち上げが企画され、わしも参加させてもらった。 監督を退任したわしであったが、この期に及んで往生際が悪かった。 何かというと、過去数回のWUCCの日本の出場枠は3つくらいあったのだから、今回ももしかしたら増えるのでは??という淡い期待を、未だに拭えずにいた。 そこで企んだ。 運良く出場枠が3つ以上になった時のことを想定して、そのことが決まってから準備を始めるのではなくて、まだ出場国の枠が確定していない今から準備を始めた方が、今後のチームの方針として建設的なのではないか?!! 他力本願の暴論のような方針だが、わし的な敗戦の悔しさがそうでもしないとやってられなかったのであろう。 打ち上げの途中でゲリラ的にこの暴論をブチかまし、勝手に「打ち上げ」から「最速の決起会」へと会の趣旨を変え、世界大会に出られないことが確定するまでは監督をやると勝手に宣言し、強制的に気持ちの切り替えを煽った。 そしてマーベリックスはすぐにオフに入ることなく、すぐに練習を再開することとなった。 それから約1ヶ月の2021年11月4日、WUCCへのウィメン部門の参加枠が4枠まで増えたとの連絡を受けた。 PR |
|
コメント |
コメント投稿 |
|
忍者ブログ [PR] |