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2020 09,29 18:24 |
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9月某日、灼熱の夏の終わりを感じさせる肌寒さに秋雨のパラつくなか、東京西部某所のグラウンドに、アルティ界の記憶から消去されつつあるレガシーたちが集結していた。 そう、略称・東京VegeGriffonsのおじさんたち(+奇特な若手部員)は、なんとその日11人も集まっていた。 なぜそんな大勢が集まったかというと、男性として見向きもされなくなって久しいおじさんたちが、急に元・平成VegeGriffonsこと東京オゲレツ学園アルティメットゑロス倶楽部VegeGriffonsマーベリックスからの合同練習のお誘いという露骨なハニートラップを受けて、それに安々と引っ掛かったからに他ならない。 両チームグラウンドに入り練習の準備をしていると、とある不審者の登場にわしは二度見、三度見した。その男性は、これからアルティをする人種としては到底似つかわしくない風体であり、明らかに無目的なまま迷い込んできたように思えた。 その日は雨ということもあって気温も急に下がり20℃を切るような肌寒さであったが、その男性は真夏と同様の半袖短パンという出で立ちであった。 今は令和の時代なのにそのシャツには1990年代後半に一瞬だけ流行ったシワ加工(但し男性が着ているシャツには本来その加工は施されていなかったと考えられる)が、そしてその短パンには深いダメージ加工(但しデニムではなく、ポリエステル素材でポケットが8コくらいついている謎短パン)が施されており、その裾を見るともはやフリンジかというような具合に繊維が飛び出しまくっていた。 明らかに場違いな雰囲気を醸し出しているその男性に対し、わしはマーベリックスの監督でもあるので、付近をウロつかれて良からぬ事件に発展することを未然に防ぐため、お引き取り願うことを決意した。 意を決してわしは男性に近づくと、少し認識するまでに時間を要したが、その顔面を見て衝撃を受けた。 その、わしの記憶では基本鉄道の高架下でしか見かけることのない非日常的なファッションを着こなす男性とは、当ブログ久々の登場となる、 そう、 ドリンボ 栄枯盛衰ここにあり!とばかりに、古人の残した四字熟語を見事なまでに個人で体現されていた。 久々に集まったトーベジの動き出しはひどいものであった。 アルティのアップの最初歩であるスクウェアドリルの距離を走るのもギリギリといった有り様で、「先出しNG、マイナスNG、頭より上NG、膝下NG」を満たさないスローはあたりまえのように大地に吸い込まれていった。かといって「キャッチがんばれ!」と言うと肉離れで試合までに3人は消えてスクラッチになることが予想されたため、極めて緩く、もとい入念にウォームアップを行っていった。 そして遂にメインイベントの時間がやってきた。 トーベジにとってトーベジメンバーオンリーでの対外試合は、コロナ(+高年齢化)のせいで今シーズン最初で最後になるかもしれないという可能性があったため、全員本ユニ着用という気合の入れようで挑んだ。 試合序盤、トーベジは劣勢に立たされていた。 相手が女子だからという安易すぎる気の緩みにより、まんまとロングを連続でブチ通されるなどで失点を重ねた。 なかでも芸術点が高かったプレーをかいつまんで挙げると、奥勝負のディフェンスで吉田楓エルサぴょんチャレンジに挑んだガボンに関しては、シュートをうたれてから完全にバトルモードの男ダッシュを繰り出したものの全く距離が縮まることなく、更にキャッチされる際には背後からAUDLばり無駄イブをかますも掠りもしないで大地に墜落されていた。 そして我らがコースケ師匠も、以前上競り勝負でブチのめされオシマイDEATH判定を喰らった、こちらも宿敵・吉田楓選手のミートに完全な男ダッシュからのダイブカットを試みるも、同じく1ミリも掠ることなく地面に着弾、無様に転がっている間にノープレッシャーのロングを投げられ失点するという、さすがの撮れ高を提供してくださった。(そしてコースケ師匠はこの激安プレーで右ハムストリングを軽く肉離れ) 出だしにヘーベジにいいようにやられたトーベジのおじさんたちは、その瞳に少しずつ、遠く忘れかけていた闘争心の火を灯し始めてきていた。 と共に、雨による気温の低下と気合の高まりが相まってか、おじさんたちの体から蒸気のように白い煙がシューシューと立ちのぼり始めた。 わしは何の気なしにそのおじさんたちの集団から立ち上る白い煙に近づいてしまったとき、とてつもない事実に気付いた。 ぐはぁ!!!! この白い煙に配合されている濃密すぎる加齢臭がやべえええ!!!!!!! わしの嗅覚は人より敏感で繊細であることは有名な話(※)であるが、ドラゴンボールのオーラのようにたちのぼるおじさんたちの白い煙は、もはやSOTGで身体接触や危険プレーと指摘されてもおかしくないほどの破壊力、いやむしろ暴力であった。 ※練習後のドリンボの足臭がやばすぎて、わしが嗅いだらニオイを超えて味がするという人体の神秘が起きたため、メシ屋でドリンボの足臭をおかずに白飯を食うという拷問を受けた わしは毎度ラインナップの際に一番端っこに、更に隣の人からちょっと距離遠めの位置に並んでいたが、それはわしがもし左右から白い煙に包まれてしまった日には、わしはスローオフが投げられる前に鼻インジャーでの交代に追い込まれる可能性があったことが理由である。 序盤は接戦だったものの、ある時から、最初の猛攻が嘘のようにヘーベジのオフェンスは崩れ始め、5連続ブレイクというまさかの展開に陥っていた。 その不可思議な崩壊の兆候を、監督たるわしは見逃していなかった。 その“ある時”とは、トーベジがゾーンをかけ始めたタイミングと完全一致しており、白い煙を噴出するおじさんのカップに囲まれたヘーベジのハンドラーの目が、至近距離で煙を吸引する時間が蓄積されるにつれて次第に目が虚ろになっていっていたように思われた。 そして嗅覚的暴力を受け続けて脳の神経回路が遮断され、意識がかすみ始めたと思われるヘーベジハンドラーは、普段では信じられないくらいスローを刺し始めたのである。 トーベジによるアルティ外の攻撃は、ニオイだけには留まらなかった。 先に登場したドリンボが、まるでそれが彼の存在意義かのように、コート内外でヘーベジの精神を削る攻撃を仕掛けていた。 ヘーベジがタイムアウトをとり今後の展開について集中して話しているとき、コミュニケーションを図るつもりなのか図るつもりがないのかわからない、微妙な距離をとったドリンボは、放送コードを軽く突破している顔面を携えて謎の「ハイ◎ハイ◎」という相槌ちを連呼。 一見、ドリンボは人類史上最高水準のガン無視を享受している、かに思えた。 しかし後日談、ヘーベジの某O橋選手は、遠目に視界に入るその頷きが本当に気持ち悪すぎて、全くもって冷静に話し合いができる心理状態ではなかったと語っていた。 白い煙攻撃にグロい頷き攻撃だけでも大概のものであるが、最後にとっておきの、ヘーベジにとって完全にトドメとなる一撃が繰り出された。 コースケ師匠は、ヘーベジにおいてコーチと書いて実際には送迎ドライバーを熱心に務められているが、練習のときにはアップに参加したり、身内の紅白戦の撮影なども精力的に行われている。 そのためこれまでの練習参加経験から、ヘーベジのいくつかのセットプレーを把握されている。 試合中、ヘーベジによる見事なセットプレーが炸裂し、あまりの統率のとれた連携にさすがのトーベジの一人が気付き、何の気なしに発言した。 トーベジ選手「おおー、今のってセットプレーなんですかねー??」 仮にわしがたずねられたとしたら、「ふふ、そうかもね~」くらいにはぐらかしていただろうことは想像に易い。 当然、実際にたずねられたヘーベジのコーチ・コースケ師匠も、毅然とした佇まい、そして穏やかさの中にも深い怒りをにじませた厳粛な口調で、答えた。 コースケ「今のはまずこの人がこう動いてね、で次の人がこうハケてね、そうするとここにスペースが生まれるから、そこにロングパスを通すというセットプレーなんだよ◎」 完全リーク 許されることではない。 チームから仮にもコーチと呼ばれる人物が、指導しているチームのセットプレーのデザインを対戦中の相手にリークするという、指導者として究極の禁忌をいとも簡単にお破りになられた。 練習後、セットプレーがリークされていた事実がヘーベジに伝えられると、見事にヘーベジの漏れなく全員からゴミを見るような痛烈な視線を浴びることになったコースケ師匠であったが、その顔面に至高のエクスタシーが浮かびあがらせていたことはもはや説明不要の伝統芸能である。 今後どうやってこの落とし前をつけるのか、どれだけ予定前倒しで中型免許の限定を解除してマイクロバスを発動するようになるのか、逆に漢としての矜持に期待である。 そんな様々な工作活動の甲斐あって、トーベジはシーズン初の対外試合に勝利。 一方トーベジお得意の心理作戦にペースを乱され敗北してしまったヘーベジの諸君は、なぜここまで崩れてしまったのか心底わからず、みな釈然としない表情をしていたことはとても印象深い。 そんななか、ヘーベジメンバーの帰りの車でのもっぱらの話題は、 「ブログでしか認識していなかったドリンボだけど、少し接触しただけでもわかるサイコパスだった」 何をどうやったら、たった数時間の接触で人は初対面の人からそんな評価を得られるのだろうか・・・? PR |
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