2025 05,16 03:19 |
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2019 05,13 17:51 |
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東京聖オゲレツ学園アルティメットゑロス倶楽部VegeGriffons(2006年設立) 平成聖オゲレツ学園アルティメットゑロス倶楽部VegeGriffons(2018年設立) この2つのチーム名を見比べて、誰が両者は全くの無関係と認識するであろうか。頭の2文字以降が被っていることが、仮に純粋な偶然だったのであれば、それはもう天文学的な確率である。 もちろん無関係な訳はなく、姉妹チームなのである。それゆえ、トーベジが癖の強いおじさんたちが集うタコ壷コミュニティーと化しつつある今、結成当時トーベジが思い描いていた目標をヘーベジが受け継ぎ、おじさんの代わりに奮闘してくれている。 そんな、切っても切れない関係にある両チームであるが、実はこれまで一緒に練習などの活動を行ったことはなかった。 なぜかというと、両チームの架け橋となり得るわしは、相互理解の浅いうちに一定以上に両チームの距離感が縮まることに対して、喜び以上に、大きな不安を抱いていたのである。 不安の一端を示すのであれば、 ドリンボが彼独自の「面と向かってNOと言わなければ全部YES」理論に則り練習中にベジガールへ痴漢を繰り返し、後日告訴され泥沼の裁判沙汰になる光景が頭をよぎったり。 コースケ師匠独自の伝統芸能である顔面からの地球突入ダイブに憧れたベジガールがおもしろ半分に真似してしまい、鎖骨とオークリーに致命傷を負い救急搬送される光景が瞼の裏に浮かんだり。 トノイケによるメシ泥棒という副業の一環により、練習中にカバンから昼ごはんを抜き取られ勝手に食われてしまうというショックから深いトラウマを負い、それが原因で引きこもりになってしまうベジガールの姿が想像できたり。 など、不安要素を考えれば枚挙に暇がない。 しかし2019年5月、我々は、一歩踏み出した。 半年以上の調整期間を経て、遂に合同練習が行われた! ゾーンのセット練にて、トーベジが10年以上かけて磨きあげてきたゾーンを、ヘーベジに伝授するという、姉妹チームならではの試みが行われた。 当初、トーベジがかけるゾーンにヘーベジが全く対応できずエンドラインのコーナーギリギリまで追い詰められ、しまいには最後にキャラハンまで喰らってしまい「キャッ、やっぱり先輩、カッコイイ☆」とときめきメモリアル事案が発生する予定だったはずなのであるが、初見から何の苦もなくズバズバ崩してゆくヘーベジのオフェンスは、あまりに美しすぎた。 セット練の一本目からあたりまえのようにトーベジの秘技“男走り”を発動させ、男女の走力の差に任せて崩された綻びを強引に守るという手段が採られていたが、それでも全く止まる気がしなかった。引導を渡されるとはこういうことなのかと、感動すら覚えるほどであった。 その日、トーベジが練習を終えると、何やら向こうのほうからお呼びがかかった。 りお「おーい、ODA練やりますよー!こっちは準備オッケーでーす!!!」 “ODA練”のODAとはベジガールの1人であるオダを指す。 メニューの内容としては、フルパワーストーリングとシャトランの組み合わせなのだが、段階的に距離の伸びるランの最深部にオダ本人が鎮座しており、そこまでたどり着いたら森羅万象への感謝をオダに伝え、極限の無酸素運動のなかで一度心の平穏を取り戻した後にまた全力でスタート地点に戻ってくるという、1つのメニューの中で心技体を一度に鍛えることができる、画期的なトレーニングなのである。わしも最近よく不意打ちでノーアップからオダ練で全力で走る機会を与えていただき、その代償として各地でこっそりとマーキングさせていただいている。 当然、本練習に名前を冠するオダは、ベジガールのなかでもある種超越した存在として崇められている。 最も超越的で印象的なエピソードとしては、とある日の練習にて、おもむろに石ころをたくさん集め始めたオダに対して、不思議に思ったチームメイトが話しかけようと近づいたら「キーーーーーーーーーーッッッ!!!」と威嚇を始め、まるで我が子の如く石ころたちのの守りに入ったという事案がある。そのスピリチュアルな光景を間近に目撃していたわしは、その辺に落ちている石ころなんて無価値という、未来都市東京に存在する全ての人類の共通認識を覆す新たな価値観の境地を見い出され、脳に電撃が走るような衝撃を受けたのであった。 アルティのプレーにおいても超越的なセンスを発揮しており、なぜだかわからないが、ディスクの進む先にはオダがいるという現象が頻発する。 よく、「パスの2手、3手先を予測して準備しておき、ディフェンスのポジショニングの先手を取って仕掛けることを心掛けるべし」という指導を耳にするが、オダに関しては25手くらい先が見えているのではないか、という次元である。わしは立場柄ヘーベジの試合動画を見て選手の特徴を観察したりするのだが、オダの動きの法則性だけはどうしても見抜くことができない。 でも、複雑なディスク回しのその先には、必ず、オダがいる。 これは、オダがディスクをもらいにいっているのではなく、逆に、ディスクがオダを求めて進んでいるのではないだろうか??? もはやアルティという概念を超越した、スピリチュアルな世界観なのである。 さて話は戻り、りおによりODA練への招集がかかった。 なんとなくの流れで、わし以外のトーベジのメンバーもODA練を行う流れとなったのだが、ODA練の恐ろしさを知らない素人たちの顔には「ははん、小娘がやるトレーニングなんてたかが知れてるわい」という舐めた表情が見え隠れしていた。 そんな舐めた連中は天罰を喰らってしまえ。 わしは思ったのだった。 ベジガールが見守るなか、トーベジの戦士たちのみによるODA練開始から約10分後、オダの周辺にはおじさんの死体がそこかしこに転がっていた。まんまと天罰が下ったのであった。 過去に何度かODA練を経験していたわしも、その辛さの向こうにあるシャングリラを知っているからこそ、手抜きはできないとばかりにフルパワーで臨んだ。案の定、ODA練を終えて自動的に大地に倒れこんだわしの肉体は、明らかに限界を超えており、全ての内臓の機能低下と激しい無酸素運動による目眩に襲われ、もだえ苦しんだ。 そんな、限界を超えたおじさんが大地を転げまわっている様を見て、遠くの方で悪童・りおを筆頭としたベジガールたちがゲラゲラ笑っているのがうっすらと耳に入り、改めて思い知った。 そうか、これはトレーニングと称した、ハニートラップだったんだ。 我々の体を張った全力疾走は、ベジガールにとってただのエンターテイメントの提供でしかなかったんだ・・・。 そんな絶望とともに意識が遠のきそうになっていると、大地から見上げる青空との間に顔を覗かせてきた人物がいた。 オダだった。 オダ「ナイスランでした。」 オダだけは、褒めてくれた。 オダだけは、おじさんに優しかった。 わしは、みんなに見えない方を向いて、泣いていた。 PR |
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