2025 05,16 03:19 |
|
2019 05,07 18:10 |
|
2019年5月3日、10連休という大型GWの真っ只中。 俺たち品行方正さわやかフローラル集団こと東京都聖オゲレツ学園アルティメットゑロス倶楽部VegeGriffonsは合宿のため、静岡県は富士川緑地へと向かっていた。 通常の練習やセット練の他に、30分ハーフの全日本選手権ルールの試合が土日合わせて4試合組まれていたのだが、俺たち精鋭の激アチ青年隊は8人、そのうち4人は35才という、玄界灘の人数で戦場へと赴いていた。このメンバー構成で合宿を決行したトミオカキャプテンの正気を疑うと共に、疲れたおじさんが肩で息をする際の吐息を浴びることに興奮を覚えるという彼の異常性癖には戦慄を覚えるばかりである。 そんな、純粋な鬼畜プレイを甘受することが確定している富士へと向かう東名高速での道中、車内ではこんな会話が繰り広げられていた。(わしはこの車に乗っていなかったので、後に聞いた情報を元に、具体的な文言は脳内補完して再現している。) 人見「やいコースケ、今回は人数が少ないうえにアルティが久しぶりな人が何人もいるんだから、怪我するんじゃねーぞ?」 コースケ「キミは俺のことを誰だと思っているのだね?俺は、アルティメット界の、スターであるぞ?」 人見「俺が鎖骨折ったときは、完治するまでに3ヶ月はかかったんだよ。コースケは甲州オープンで折ってからまだ2ヶ月だろ?本当に医者に治ったって言われたの?」 コースケ「医者には、骨は1ヶ月でくっついたと言われ、2ヶ月で完治したと診断されたさ。そんなことより、俺がプレーしなかったら、スターである俺と対戦することを楽しみにしている相手、そして、世界中の女たちが、寂しがるだろう?」 人見「とにかく、8人しかいないんだから、怪我で離脱は勘弁してくれよな。」 自他共にアルティメットのスターと認めるコースケ師匠は、振り返ってみるとここ数年で3度、骨をお折りになられている。 1回目 ドリームカップ、の前週のスノボで雪山に顔面から墜落し、鎖骨骨折 2回目 Run To Taiwan、地球に顔面から突入し、肋骨骨折 3回目 甲州オープン、地球に顔面から再突入し、鎖骨とオークリーを骨折 全て30才を越えてからの事象という、経験を重ねたベテランらしい、実に味わい深い実績である。 まさかこの車内での会話ことフラグが、後に完全回収されることになるとは、さすがに誰も知る由がなかった。 合宿初日の2試合目。 中部の雄、富士龍神との試合。 前の試合でユニバースまでもつれたために、当然のことながらこの試合の前から既にズタボロの満身創痍の俺たちトーベジであったが、なんとか歯を食いしばってキープ合戦を保っていた。 そんななか、遂にやってきたブレイクチャンス。 相手のオフェンスが早いタイミングでTOを起こしたため、気力を振り絞って相手より早くエンド内に駆け込むトーベジの戦士、3人。それに対し、龍神のディフェンス、2人。 マサキがエンド前でディスクを持った時点で、わしが1人逆サイドにひきつけた事により、エンドに駆け込んだコースケ師匠がどフリーとなった! あとはスロー練のようにパスをすれば念願のブレイク! そしてマサキが満を持してパスを放った!!! ・・・、が、不必要に、低い!!!! 膝くらいの高さから放たれたバックは、エアバンがかかる、こともなく、ただただ大地へと吸い込まれていった!!!! ぎゃー、千載一遇のチャンスが、水泡に帰す!!!と、思われた絶体絶命の瞬間、ヒーローが現れた。 そのヒーローは、顔面を漫☆画太郎画伯の如く完全解放させ、まるで競泳の飛び込みどころか高飛び込みのような角度で大地に突き刺さっていった!!!!! その光景を真横で見ていたわしは、ぎゃー、これは、甲州オープンのデジャヴやーーー!!!!と試合中にも関わらず思い出し笑いでゲラゲラ笑い始めていると、ヒーローことコースケ師匠はそこから思わぬ行動に出た!!! なんと!!! 地面ギリギリのディスクを両手キャッチした後にローリングの受け身をとって、着地の衝撃を背中に逃がし、顔面からの垂直墜落を避けたではないか!!!!!!! どーでもいいところで成長してやがる!と感慨を覚えたわしはそれはそれでゲラゲラ笑っていると、コースケ師匠は大地に仰向けに寝転がったままディスクを青空に向かって高々と掲げて、漫☆画太郎の完全解放の顔面のまま、声にならない呻き声をあげた。 コースケ「あ、う、う、はぁはぁ、く、くはぁ・・・!!!!!」 あまりにも滑らかなローリングの受け身を取っていたため、その喘ぎすら高等テクの鎖骨ギャグだと思って引き続きゲラゲラ笑っていたら、コースケ師匠はなにやらその体勢のまま全身でビクンビクンと蠕動運動を始めた。 ・・・え? わし「コースケ君、コースケ君、、、キミ、もしかして、本当に、鎖骨ったのかい?」 コースケ「はぁはぁ、う、うー、いてぇ、なんかボコッてなってる・・・!!う、う、ハァハァ、う、かはぁ、人見の、人見のせいだーーーー!!!」 その時、朝の車内のフラグの存在を知らなかったわしは、極めて困惑した。ただの自爆行為にしか見えないのに、なぜ人見が出てくる?? 怒りと痛みの発散の矛先がプレーと全く関係のない人見に向かっていることも全くのミステリーであったが、それより痛みでハァハァ言っているコースケ師匠の吐息を感じて顔面にエクスタシーを滲ませているトミオカはもはや猟奇系ミステリー小説にでてくる犯罪者以外の何物でもなかった。 まずは怪我の処置よりも前に人見の誤解を解かなければならないと優先順位付けしたわしは、とりあえず大げさに転げまわっているコースケ師匠を諭すこととした。 わし「鎖骨さん鎖骨さん?人見ってなんで??今のプレーに人見全然関係ないじゃん??!」 コースケ「はぁ、はぁ、あ、うー、ちきしょー、ジンジンする、いてーー、人見があんなこと言うからーーー!!!!」 わし「だからなんで人見なんだよ!!!てか、ホントに鎖骨ってたらGWでもやってる病院探さなきゃじゃんかよ!!!!」 しばらくガタガタやりあった後、結局龍神の杉山さんによる的確な判断により救急外来を教えてもらい、コースケ師匠はさやかマネージャーに連れられ病院へと向かっていった。 その夜、長時間の診療を経て宿に帰還した、若干のエクスタシーを滲ませた男のその顔は、まさに百戦錬磨の伝説の勇者たるにふさわしい面持ちなのであった。 トーベジ合宿は、5/3,4の2日間が予定されていたが、トーベジ合宿終了後、わしは新富士駅から新幹線で名古屋に向かっていた。 なぜ名古屋に向かったかって? そう、5/5に、愛知淑徳大さんのグラウンドにて、姉妹チームである平成聖オゲレツ学園アルティメットゑロス倶楽部VegeGriffonsの合宿が行われるので、わしはベジ合宿のハシゴを敢行したのである。 新幹線でのわしの右隣の席には、現在京都住まいの人見が座っていた。 それはわかる。方面が一緒なのだから、一緒の電車になることもあるであろう。 全く解せないのは左隣の席に、圧倒的なオーラを纏い威風堂々とした佇まいで鎮座している男がいることである。 その男とは、 そう、 コースケ わしと同じくヘーベジ合宿に向かう彼の、ヘーベジの少女たちの認識はただ一つ。 ビーチ専門監督という名の「専属ドライバー」である。 鎖骨を負傷した今、運転はおろか、選手たちの荷物を運んだり、試合中に水を運んだりというサポートも満足にできない彼が、名古屋に何をしに行くのか。 その心は、彼以外知り得ない。 そして、ヘーベジの選手たちからも、この合宿での役割について一切、何も求められていない。 前夜、コースケの嫁氏ことさとみんに当然の如く「鎖骨折ってるのに本当に名古屋に行くの?」と念をおされたにも関わらず、彼は名古屋行きの新幹線に乗っている。 読者諸君。 これが、先生と呼ばれ、師匠と呼ばれ、スターと呼ばれるコースケの、究極の“漢”たる所以なのである。 ただそこに存在するだけで、価値が生まれるのである。 他には何もいらないのである。 合宿先の名古屋では、不思議な事案が次々と起こった。 コンビニで100円に満たない水を買おうとしたらいつの間にかレジの机に酒が10本近く並べられているうえに全く興味がないワンピースのくじ引き(650円)まで注文されていて会計が2000円を超えていたり、気付いたら愛知淑徳大から宿までの車を運転していたり、エキシビジョンと称してコートサイドで選手全員が休んでいるなかでノーアップから全力疾走していたり、宿の部屋で両手を広げてバランスを取っていたら頭にピンクの物体を載せたおじさんが揺れていると報告されたり、改めて“監督って何だろう?”と感慨深い気持ちで一杯になった。 不思議な事案はわしだけでなく、当然コースケ師匠にも起こっており。 コンビニで同じく全く興味のないワンピースのくじ引き(650円)を2枚注文されていたり、10人乗りのハイエースのドライバーとしてAOBUCに参加しヘーベジの選手たちを和歌山から関東の各選手宅まで送り届けることについてその場で首を縦に振らされていたり。 人はこれらの不思議な怪奇現象のことを、ハニートラップと呼ぶらしい。 PR |
|
コメント |
コメント投稿 |
|
忍者ブログ [PR] |