2025 05,16 03:09 |
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2010 09,24 13:40 |
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普段いけすかないことでおなじみのゲヴォさんであるが、わしの知る限り一度だけ、神様からスポットライトを当てられたとしか言いようがない大活躍をしたことがある。 注)ゲヴォさんの軽い紹介。わしにとって唯一の高校~現在まで続く友人。高校の頃からフィールドホッケーのゴールキーパーを務め、一緒に出場した高校最後の公式戦にて、グラウンドの中で大嘔吐し試合を完全破壊。その事件よりゲヴォさんとかゲボタンクとかゲボッチュウと呼ばれている。 大学4年の冬、卒業前にスキーをしに行った時の話。 本題に入る前に、まずはその際の彼のいでたちが常軌を逸していたことの説明をしなければならない。 彼は親から譲ってもらったと思われるスキーウェアを装着していらっしゃったが、何か違和感を感じた。ジャケットはラベンダー色、ズボンはクリーム色、そしてサイズが不自然に小さくアンダーアーマーみたいになっていた。 …まさか母親の!!!!?? しかし違和感はそれだけに収まらない。帽子をみると、とこかで見たことがあるような形をしている。…原宿の、ラフォーレの隣の交差点に面したお店で見たような…。どっからどうみてもコンド○ムを模した形であった。そんなもの、頭に載せるべきではない。 そんなゲヴォさんは、少年少女が滑っているが如く完全にボーゲンスタイルで「★」みたいな形になってチョロチョロと滑走していた。 そんなこんなで、雪上が苦手そうなゲヴォさんな訳であったが、スキーも一通り終えて宿にあがろうかというところに、宿の前に無料レンタルの「そり」がいくつも置いてあるのを発見したので、そりで遊ぶことにした。 無人のリフトだったのでそりを持ったまま乗ることできたため、かなり高いところから滑り降りることができた。幸いほとんど貸し切り状態だったので、まさに縦横無尽に滑りまくりであった。 すると偶然、ブルドーザーみたいな除雪車が下からやってきて、ゲレンデに我々のためと言わんばかりに、下から上まで一直線に雪を踏み固めていった。ブルドーザーが通った後はまるで、ボブスレーとかリュージュ/スケルトンみたいな一直線でツルツルのコースができあがった。 この幸運を見逃すなとばかりに、何度もそりで滑走を繰り返したのだが、あまりにキレイなコースだったためにスピード感に物足りなさを感じていた。 やはり子供用のプラスチックのそりでは限界があるなぁと飽き始めていた頃、なにやらゲヴォさんがとてつもないものを手にして仁王立ちされていた。 『競技用そり』 それはボディーボードのような形をしており、子供用プラスチックそりと比べあからさまに攻撃的なフォルムをしていらっしゃった。レンタルそり置き場の奥の方に安置されていたのだという。 コースにそりに、完璧なシチュエーションが整ったため、迷わず競技用そりの実力を試してみることにした。 保守的なゲヴォさんを尻目に、まずはわしがトライしてみることにした。 リフト1本分くらい上から滑り降りるので、コースはかなり長い。その中でどれくらいのスピードが出せるものなのか、男気のスケルトン乗りで挑んだ。 大人のそりは、それはそれは暴力的であった。 スキーで直滑降してる時のような「ゴーーーー!!!!」という風を切る音と共に、スピードはぐんぐん上がっていった。コースの中腹くらいまで来たところでもはやどうブレーキをかけても止まれないくらいのスピードになりコントロール不能に陥ってしまったため、わしはコース脇の新雪部分に身を投げ出した。映画で走っている車から飛び降りて地面でゴロゴロしているのとまったく同じ感じで、わしは白煙をあげながら斜面を転げ落ちた。 素晴らしくエキサイティングなスポーツを発見してしまった。 次はゲヴォさんの番である。 コ○ドームを頭にのせたラベンダーのお花ちゃん型の人は、スタートラインにセットし、わしと同じスケルトン乗りで挑んできた。 そしてスタートした。 わし同様、ぐんぐんスピードがあがってゆく。遠くから眺めて「速い!」と感じるくらいだから、よっぽどスピードが出ていたのであろう。そして地面すれすれに顔のある当人の体感スピードは計り知れないものがある。 コースの中腹に差し掛かったところで、やはりわし同様コントロールを失っているようであった。何度か両手を地面にあててブレーキを掛けようとしているようだが、全くスピードは収まらない。それどころかジタバタしているうちにガンガンスピードが上がってゆく。 もう止まるためには身を投げ出すしかないのは明白であった。 が、究極の男・ゲヴォさんはここからが違った。意志薄弱なわしと違いそこで腹を据え、抵抗することなく再度スピードに身を委ねたのだ。 降りしきる雪を切り裂き、神のようなスピードで残りのコースを攻めてきた。彼が近づいてくるにつれ「ゴーー!」という音が大きくなってきた。 「俺の限界をとっくに超えてしまっているおまえのスピードは、もはや誰にも止めることはできない。おまえはなぜ己の命を賭してまでスピードを追い求めるのだ、負けたぜ、このスピード狂め。」 とわしが心の中で敗北を認めたのとほぼ同時に、ゲヴォさんはコースの行き止まりの深い新雪へトップスピードで突っ込んだ。 ボンッ!!!!!! という音と共に、○ンドームをかぶったラベンダーは宙を舞った。わしの目の高さと同じくらいの高度で、ゆうに5mはかっ飛んだ。わしはあれほどキレイに人間の肉体が放物線を描く姿は見たことがない。 そしてアニメのように頭から新雪の山に突き刺さった。着地点の2mくらいとなりには普通に倉庫が建っていたので、ホントに大事故危機一髪であった。 誰もがあまりの大クラッシュに驚きゲヴォさんのもとに駆け寄ると、ゲヴォさんは戦地から帰ってきたヒーローのように雪をかき分け無事に帰還した。 まさかただのスキー旅行でここまでのエクストリームスポーツを目撃することになろうとは夢にも思わなかった。 彼はその日、人生で一番かっこよかったのかもしれない。 その後、最後までブレーキをかけなかった彼の英断の真相をたずねると、こんなコメントが返ってきた。 ゲヴォ:「速すぎてもう自分ではどうすることもできなかったんだよぅ」 PR |
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