2025 05,16 08:07 |
|
2018 02,08 17:03 |
|
わしには弱点がある。
ファミ通にも掲載されたことの無い丸秘情報なのだが、機械系のモンスターはサンダー系の魔法が弱点であり、植物系のモンスターはファイア系の魔法が弱点であるように、わしは「ニオイ系」と「体液ネバネバ系」の攻撃に弱い。
明らかに臭い人やモノが近くにあるときは、危険を察知した瞬間からほぼ無意識のうちに口呼吸に切り替えられ、デンジャーゾーンが過ぎ去ることを待つ。ニオイの元との距離がだいぶあいてからも、鼻孔に残り香があると鼻呼吸再開後の一吸いでニオイを感じてしまう可能性があるため、口で息を吸い込んだ後にフンフンとポンプの要領で鼻から息を吐き出し、鼻孔の換気を行うことを欠かさない。
そして体液ネバネバ系、例えば手バナ(手で鼻水をかむ行為)や、くしゃみした時にベローンと鼻水が発射されていたり、ウン○を手で拭いていたりするのを目撃すると、鳥肌ゾクゾクの一撃KOである。それらの現象が身の回りで発生してしまいそうな気配を察したら、事が収まるまでは絶対にそちらを見られない。
しかしそんな対策をかいくぐり、不運にも苦手なニオイを吸引、もしくはネバネバ系を目撃してしまった場合、わしは心身ともに大きなダメージを受ける。
そう、わしはデリケートな少年なのである。
話は移り2017年6月3日の土曜の夜。全日本選手権優勝を合言葉に切磋琢磨してきた我々、東京さわやか活動普及青年隊こと東京VegeGriffonsの面々は、大会初日にして颯爽と予選敗退を決めたため、まだ日が高く辺りも明るいうちから、宿で思い思いの時間をエンジョイしていた。
概ね2グループに分かれ、片方は荷物がアルティ関連以外のグッズのほうが遥かに多いことでお馴染みの平本の持ってきた「仮設雀荘セット」を設営のうえで麻雀に励み、もう片方は大部屋に集まり軽くお酒を飲みながら談笑していた。ちなみに専属トレーナーのマコン☆君は、彼の存在意義である選手のコンディションケアという役割を放棄し、誰よりも熱心に麻雀を打ち続けていた。そう、俺たちVegeGriffonsの明日の勝利のための準備に、抜かりは無い。
さて大部屋グループは既にやることを持て余し始めたため、ベジの専属女子マネを務め、はるばる石川県から大会会場に駆けつけるという奇特すぎる感性をお持ちのサヤカ氏の持参したトランプでババ抜きをすることにした。
負けたときの罰ゲームは、
「隣の部屋で麻雀を打つドリンボの足臭(そくしゅう)をしっかりと嗅ぐ」
に決まった。
常人と異なり極めて繊細な鼻孔空間を誇るわしにとって致命的なこの罰ゲームが決まるまでに、布石となる事件があった。
そこは結構な大部屋だったのだが、トランプを始める前、わしはどこからともなく漂ってくるニオイに敏感に反応した。
ニオイの元を突き止めるため、くんくんしながらニオイをたどってゆくと、あろうことかわしの荷物が収納された60リットルPatagoniaバッグにたどり着いた。
ありえない
いやむしろ、あってはならない。
全く心当たりがないため極めて嫌な予感がしたが、わしのニオイレーダーが完全にわしのバッグをニオイの発生源と特定していたので、恐る恐るカバンの中身を確かめてみることにした。
スパイク袋にソックスが残っている??? 違う。
洗濯ネットに何か残した??? 違う。
その他に残っている袋は、未使用の衣類が入ったネットしかない。まさかこれのはずがないと思い無警戒でネットに鼻を近づけニオイを嗅いでみると、
ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
尋常ではない刺激臭が脳天を貫き、視覚、嗅覚、そして平衡感覚を司る神経に著しいダメージを負ったわしはその場で膝から崩れ落ちた。
意識が朦朧とするなか、そんなばかな・・・、とばかりに未使用の衣類が入ったネットを開けてみると・・・
今日1日を通して試合で使われたと思われる、全く見覚えのない薄汚いソックスが混入していた。
わしは速攻で悪臭を放ち続ける汚物を取り出し、ゴミ箱に投げ捨てた。極めて見苦しいかつ激臭を放つそれは、間違いなくドリンボの装着していたソックスであった。
しかし誰がこんな心無い攻撃を??
しかしわしの確認する限りドリンボは宿に戻ってからずっと麻雀をしているためヤツ自身が入れたとは考えにくい。
では誰だ、とばかりにあたりを見回してみると、明らかに犯人と思われる男が快感とばかりにニヤニヤしていた。
わしは彼の病的な行為に心を痛め、「どうして君はそんなことをするんだい?」と仏のマインドでたずねると、彼は答えた。
トミオカ「マネージャーさんが『洗濯物があればネットに入れておいてください』とLINEで流してたので、ドリンボさんの靴下も手頃なネット(←わしのカバンに入っていたネット)に入れておきました。なのでマネージャーさんのせいです。」
救いようがないクソタコであった。そして同時に、年上の男性に他人の足臭を嗅がせて苦しんでいるところをコッソリ見てニヤニヤするという、極めて珍しい異常性癖をここに露呈したのであった。
東京という魔都に毒されてしまった彼は、今後リアルさわやか集団の信州系のチームへ出戻りを希望しても、もう誰も引き取ってはくれないであろう。
さて話は戻り、ババ抜きである。
いくら罰ゲームがドリンボの生足臭を嗅ぐというものでも、10人もいれば負けることはないだろうと思い、参加することにした。そしてゲームが始まった。
負けた
気付けばわしは隣の部屋の畳の上でひざまずき、脂汗をにじませながら浅い口呼吸を繰り返していた。
そして目の前10cmにはこの世で考えられる最も醜悪でかつ獄臭を放ち続ける造形物、ドリンボの生足があった。
まるでサザエのようにイボイボしており更に湯煎したウ○コでコーティングしたかのような、もはやグロテスクとしか形容し難い真っ茶色のそれは、見るだけでも地獄、まだ嗅いではいないが確実にその臭気は煉獄を連想させるに易かった。
鼻のバリアを解放して一気に息を吸い込む
先ほどクルーズにユニバースでブレイクされる直前のディフェンス時の心身の状況よりも、わしにとって遥かに辛く厳しいミッションであった。
10人以上の野次馬がまるでコロッセオでの闘技会でグラディエイターの闘いを煽るが如く、わしの足臭嗅ぎを囃し立てた。
四方を囲まれ逃げ場がないと観念したわしは絶望の面持ちのまま、ウン○コーティングサザエことドリンボの足の1cmまで顔を近づけ、鼻のバリアを解除し、一思いに吸入した。
空中できりもみ回転していたのだろう。
吸入した瞬間、目の前が万華鏡のようにくるくる回転してるなーと思った直後、元いた場所から畳2枚分くらい離れた地面に頭から突き刺さり、それから数秒の間は全身の筋肉痙攣が止まらない発作に見舞われていた。そしてなぜか止めどなく涙が流れ続けていた。
それは単純にニオイのカテゴリだけで語ることはできない、戦争においても使用が禁忌とされる無差別神経ガス攻撃に匹敵する、暴力であった。
わしの視神経、鼻孔、気道、それに連なる毛細血管、そして心を深くえぐられダメージを負ったわしは、もはや自分のものではないような感覚の体を引きずり、命からがら元の大部屋へと帰還したのであった。
わしの発作もひと段落したところでトランプが再開され、次の罰ゲームのお題も発表された。
『ドリンボの生足を、舐める』
許されることではない。
いくら罰ゲームとはいえ、やっていいことと悪いことがある。
とはいえ、10人いて、2回連続で負ける確率は、100分の1。
瞬間的にわしの負ける確率は極めて低いことを導き出し、わしはマネージャー含むクソタコ連中が犠牲になる姿を見たい一心で、ゲームへの参加を決めた。偏差値の勝利である。
そしてゲームが始まった。
あからさまに、心無き八百長が発生していた。
ただのババ抜きなのに、30年以上生きていて一度も聞いたことがない「おてつきワンバック」ルールが発動するなど、正当な確率論を歪ませる事案が連発され、標的にされたわしの手の内は当然苦しくなっていった。
いつの間にか1対9の戦いになっていることに気付いてから、わしは持ちうる全ての偏差値をこの一戦に勝つために投入したが、どんなにがんばっても余裕の勝利は無理で、結局最後の1対1の対決まで残ってしまった。
しかしわしのオフェンスターン、相手の持つ2枚から片方を引き抜くと、ビンゴ!
圧倒的なプレッシャーを跳ね除け、壊滅的に不利な状態から大逆転勝利を収めた。
張り詰めた気合を一気に吐き出してバトルモードから勝者のリラックスモードに移行していると、そこに、普段はおとなしくムッツリしているこーじが目を血走らせ、白目を剥きながら突然わしに向かっていきり立って吼えてきた。
こーじ「いやいやいやいや、kljfg;ふぁういjh;いあjdふぃあsだから、ハルオの今の一手は認められない!ワンバック!!!ワンバック!!!ワンバックなんだ!!!!!!」
彼の精神は完全に分裂していた。
もはや血走らせて白目をひん剥いている目の焦点はあさっての方向を向いており、頭から論理が破綻しているうえに何を言っているかすらも全くわからないという状態であったが、トミオカに次ぐ彼の特殊極まりない異常性癖の欲望を妨げてしまうと自分の身に危険が及ぶことが懸念されたため、恐くなったわしはワンバックを受け入れた。
そしてカードを引き直して外し、次のディフェンスターンでブレイクされ、負けた。
こーじの様子を伺うと、無限に湧き出るエクスタシーで顔面が大変なことになっているようであったが、その様に恐怖すら感じたわしはすぐに目を逸らしてしまった。
そしてまるでだんじり祭りのようにわしという神輿はわっしょいわっしょいされながら隣の部屋のドリンボの元までいざなわれた。
デジャヴであった。
目の前に、粘着質の○ンコサザエがウネウネと蠢いていた。
わしはウンコ○ザエを前に跪きながら、全く記憶にはないがしばらく奇声を発していたらしいが、意を決して舌の先端をドリンボの足の親指の腹あたりにつけた。
・・・・・・・・・。
ここはどこだ?
小学生だった頃の記憶の中の世界?
学校の理科室?
食塩水を煮しめて食塩濃度を高める実験をしている?
先生にダメと言われたけど、ちょっと興味本位で高まった濃度の食塩水の水滴をなめてみる?
舌が燃えるような熱さと味覚がおかしくなるくらいのしょっぱさ?
やばい、これは味がどうこうで済む問題ではない、暴力だ、体に危険が迫っている???!!!!!!!
ニオイを嗅いだ瞬間に脊髄反射の勢いで空中を滑空したわしは、ガン!!!という衝撃と共に2mほど離れていた部屋のふすまに頭から高速で叩きつけられ、首の角度が150度を超えたところで、記憶を失った。
2018年2月8日。
まだ少し雪が残るほど寒い冬の朝の、職場へと向かういつもの通勤電車のなか。
わしは電車から降りようと少し歩いたら、カツンとつり革の手すり部分が頭に当たったとき、ふとそんな夢なのか現実なのか区別のつかない、走馬灯のような映像描写が頭をよぎった。
しかしこの件は、夢とは思えないほど、細部に渡って辻褄が合っている。
あの瞬間、わしの脳は自己防衛のためにこの負の記憶を封印していたのだろう。
2017年、またしてもわしは心に大きなトラウマを負った。
賢明な読者諸君、罰ゲームのネタに困っていたら、是非VegeGriffons人事担当のこーじまでご一報を。 PR |
|
コメント |
コメント投稿 |
|
忍者ブログ [PR] |