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2018 10,22 17:43 |
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以前の投稿において、我らが東京都聖オゲレツ学園アルティメットゑロス倶楽部VegeGriffonsは、1825日周期で本気を出して、ドリームカップに招待される海外チームと戦うことを唯一のアルティのモチベーションにしていることを紹介させていただいた。 しかし先日の練習の際にふと過去を回想したとき、あまりのショックのために脳が記憶を封印していたと思われる、1825日に一度の祭典を控えた前夜に行われた史上稀に見る背徳行為が思い出されたため、私が灰になる前にここに伝記として残させていただきたい。 それは、2013年3月のドリームカップ。 参加チームで我々しか思いつかなかった、招待チーム・USAオールスターズとの対戦を確実にするための、社会人チームにも関わらず強行した3日参加。 無駄に有給を消化するという社会的地位も、3日参加して学生チームを倒しておかないとUSAオールスターズと対戦できないという事実も、全てのプライドをかなぐり捨てて、翌日の初戦でUSAオールスターズと対戦する権利を勝ち取った。 その夜、食事前の空き時間だったか。 何を思ったかガーソーが、スポーツショップに行きたいと言い始めたので、特にすることもなかったわしも一緒に行くことにした。 スポーツショップでは別々に行動し、時間を決めて集合したとき、なぜかガーソーの手にはくそダサい、しかも、同じ帽子が7コ。 いつもの奇病か、と思いそのときは特に気にしていなかったが、後にまんまと俺たち青春ガチバトルの火種となることに、今となれば簡単なヒントであることに気付くことができなかった自分に、悔しさすら覚える。 宿に帰り、ミーティングの時間となった。 1825日のすべてをUSAオールスターに勝つことに捧げてきた我々にとって、それは一つのケジメであり、アルティメットの目標であった。 珍しく厳粛な雰囲気のなか、ミーティングが始まった。 議題は、『いかにしてUSAオールスターにギャフンと言わせるか。』 わかっている。 さすがに勝ちきれないことは、わかっている。 しかしその対戦時間50分のなかで、ただいつも通りの戦いをしてはおもしろくない。 いかに奇想天外な戦略でUSAオールスターにインパクトを与えられるか。 我々は、必死に知恵を絞った。 しかしながら、考えれば考えるほど、それは難しい課題であった。 ・トリッキーなスローで勝負する → 現在トリックスロー専門のYoutuberと化しているブローディー・スミスがいるからムリポ ・日本人の俊敏性で勝負する → 我々より遥かに足の速いケン・ポーターとジョージスタッブスがいるからムリポ ・無理くりの奥ぶっ放し作戦で勝負する → 鋼鉄の肉体を持つ消防士・ディラン・タネルがいるからムリポ 机上の空論でさえ、既に詰んでいた。 どれだけ考えても陸・海・空の全てを制圧されていた。 それじゃあ、もう寝ようか、というところで、満を持してあの男が手を挙げ、迫真のプレゼンが始まった。 ガーソー「“クロス”と名づけた戦術がある。」 ミーティング会場はざわめいた。 未知の戦術“クロス”は、チームメイトの誰も知らなかった。 プレゼンは続いた。 ガーソー「説明しよう。我々が初見の外国人の顔を見てもなかなか見分けがつかないように、USAオールスターの連中からしても、全員人種が同じで、彼らからしたら背格好の似た我々は見分けがつきにくいのではないかと推測される。」 ふむふむ、確かに。 ガーソー「体格的には劣っているかもしれないが、皆見た目が似ているという点を逆手に取ることで、優位に立てるのではないかという、発想の転換である。」 へー。でもさすがに顔とか髪型とか、試合が進むにつれてバレていくのではないか? ガーソー「これを見てほしい。オフェンスでラインナップするメンバーは、必ずこれを目深に装着してほしい。」 軽くエクスタシーをにじませたガーソーの手には、先ほど購入したくそダサいキャップが7コ握り締められていた。 そしてプレゼンは佳境に入った。 ガーソー「ラインナップの際には、限界まで密着してラインナップすること。そして相手がスローオフした瞬間に、コートの全方向に四散する。そうすることで、我々の体格も見た目もほとんど同じであることに困惑する彼らは、必ずミスマッチを引き起こすであろう。そこにシュートを打ち込めば、オフェンスを優位に進められるはず。この戦術を、“クロス”と言う!!」 この最年長は、何を言っているのだろうか。 この人が明日の朝イチに向かうべきは、試合会場ではなく、病院なのではないだろうか。 しかしメンバー全員が唖然としすぎて何も発言できず、暗黙の了解として決議されそうなところ、ギリギリのタイミングで、あの男が口を開いた。 志村さん「俺は、、、俺は、そんな戦術には賛同できない。」 優しく太い男、キターーーーーーーーーーーーーーー!!!!! ガーソー「君はなんでそんな反社会的な発言をするんだい?」 皆、志村さんの次の発言に神経を最大集中させていた。 いつの間にかミーティング会場は、隣のメンバーの息遣いが聞こえるほどに、しんと静まり返っていた。 そして遂に、志村さんは言った。 志村さん「・・・、俺には、キャップが似合わないから、いやだ」 その後のミーティング会場での出来事は、ガーソーと志村さんによる“戦術クロス”を巡るバトルがあまりに壮絶すぎたためか、記憶を消したいと思うほど無駄な時間が浪費されたからかわからないが、何も覚えていない。 結局、USAオールスターには普通に挑み、普通に駆逐されたのであった。 残されたものは、 そう、 ガーソーのカバンの中に、くそダサいキャップが7つ。 PR |
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