2025 05,16 04:08 |
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2020 05,01 17:54 |
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わしは基本的に、人見知りである。 人見知りであるがゆえに、コミュニケーションにおいて、押しが強くない。 更には、相手に対してある程度仲間うちであるという認識を自ら持っていないと、面識ある人に対しても他人行儀な応対をしてしまう。 そんなだから、必然的に人から距離をおかれ、一人がちになり、一人の時間をヲタク的な趣味の時間に費やし、誰に評価されることも無く、孤独に、極める。 世間では、これらのアビリティを生まれながらにして持ちあわせた人のジョブのことを「キモヲタ」と呼称し、往々にしてそれは「童T」という聖なる称号へのステップとなる。 小学校中学校と、意外とクラスの人気者であったはずのわしが、現在に至るまでになぜここまで王道の童T気質を備えてしまったのか、それはわしにとって長らく解決できていない、深い謎であった。 -- とある夕飯どきに、嫁氏こと華絵門氏と話していたときのこと。 何かのきっかけで、お互いの中高時代の友達の話となり、華絵門氏による「女友達の連れてきた初対面の男と3人で、映画を観に行ったことがある」なるカミングアウトを受けて、わしも何か合コン的なアクティビティに興じたことはなかったものか、考えを巡らせる機会があった。 ・・・うーむ、思い出せない・・・ ・・・ただ、何か脳内画像の記憶として、鳥の羽ばたきのような残像がチラチラと見え隠れしている・・・? ・・・東京都聖オゲレツ学園アルティメットゑロス倶楽部VegeGriffonsの設立間もない時期に、新入部員歓迎アクティビティで、新入部員を小岩での練習後に錦糸町の場末のキャバクラに連れて行く会についていったが、既に童T気質が染み込んでいたわしはお姉さんことドドリアさんやザーボンさんたちとほとんど話すことなく帰ったことを鮮明に覚えているので、この記憶とは関係なさそうだ・・・ (ちなみにその新入部員は、その歓迎アクティビティでなにやら致命的なトラウマを負ったようで、二度とチームに現れることは無かった) ・・・一体何なんだこの鳥のようなものの羽ばたきの脳内画像の記憶は・・・??? わしが思い出すことのできない記憶に苦悩していると、ふとテレビの映像が目に入った。 なにやら海外に探検に行き、希少な生物の撮影だか捕獲だかをするような内容の番組であった。 特別興味があるわけではないがぼんやりテレビを眺めていると、パッと画面が切り替わり、アマゾンの洞窟の前に鎮座する巨大なヘビが、洞窟の天井に大量にぶら下がっているコウモリを捕食しようと身構えている様が映し出されていた。 ・・・鳥の羽ばたき・・・? ・・・コウモリ・・・? ・・・捕食・・・? ・・・アナコンダ・・・? ・・・コンダ・・・? ・・・コング・・・? ・・・コウモリ、コング、捕食・・・????!! ゴバァァアアアアァァァ!!!!! 自ら封印していたパンドラの箱を心の準備も無く急にこじ開けてしまったがために、わしは雷が脳に落ちて肛門から貫通するようなショックを受け、明らかに致死量のエアブラッドをエア吐血した。 今まで誰にも話してなかった、わしの童T気質への道を決定づけたであろう出来事の記憶が、ここに蘇った。 -- それは、高校2年生の、新緑の季節。 5月くらいだっただろうか。 お昼どきで穏やかな日差しが気持ちの良い、とても良い陽気だった。 わしは高田馬場駅の改札で、クラスの友人の野口君を待っていた。 そして、少し緊張していた。 なぜなら今日会う相手は野口君だけではなく、野口君が呼んだという女子高生が2人来ることになっていたのだ。 元々野口君とその女子高生の1人はメル友だったということで、会う約束をしたところ女子高生側が2人で出てきたということで、当時野口君と仲良くしていたわしに声がかかったという流れである。 男子校に通っていたわしにとって女子高生と接触する機会なんて無く、なんなら今回が初めてであった。 初めて会う女子高生と、今日はボーリングをする予定なのだという。 16才のわしは、未知との遭遇に少し緊張どころか、心臓が口から出そうなほどのドキドキ感であった。 野口君の携帯が鳴った。 野口君「うんうん、少し遅れる?おっけ、じゃあ駅前のマックに入ってるー!」 こなれた様子で電話を切った野口君と、時間つぶしのためにマックに入った。 なんだかんだで野口君自身もその女子高生たちとは初対面であるため、少なからずソワソワしていたらしい。 どんな女子高生が登場するのか気になって仕方がないお年頃のため、入り口の自動ドアがバッチリ視界に入る席を確保した。 そこで安いハンバーガーセットかなにかを食べていると、また野口君の携帯が鳴った。 野口君「うんうん、えっ、そうなんだー、それは残念。俺たちは駅前のマックにいるから、駅着いたらまた連絡してー。」 残念?? どうしたの?と野口君に聞くと、なんやかんやで1人が来れなくなってしまったとのこと。 むー、そういうもんなのかーと思い、引き続き到着を待つことにした。 そして少しすると、遂にご拝顔までのカウントダウンを意味する、野口君の携帯が鳴った。 野口君「お、着いたー?まだマックにいるよー。どんな服着てる?店に入ってきたの見つけたら手を振るよー。うんうん、黒い服で、…うん?頭に羽がはえている???うん、とりあえず待ってまーす。」 女子高生の頭に、羽がはえている、だと?? わしが自分の知識のなかでの女子高生の人体骨格と、今耳にした情報とにズレがあることに困惑していると、遂にその時はやってきた。 自動ドアが開いた方を見ると、一目瞭然であった。 なにやら当該女子高生らしき人物の頭には、カチューシャに装着されているのだろうか、両ウイングに直径20cmくらいのコウモリの羽が生えていた。 コウモリの羽だけで確定なのでもはや確認するまでもないが、電話で言っていた女子高生のお召しになっている黒い服とは、マイルドに言えばワンピース、ストレートに言えば禍々しいゴスロリメイド服であった。 そしてお昼どきの高い日差しで後光が差していたことによって影となりなかなか拝めなかったご尊顔が露わになると、その容貌に関して、堂々たる体躯も相まって、かわいいとかキレイとかブサイクとか、わしの持ち合わせていたボキャブラリーで表現することは到底不可能であることに気付いた。 天使のように純真無垢な16才のわしは、直感的に思ってしまった。 マンモスコング わしが思考をフリーズさせている一方で、野口君はというと、動揺している様子もなく女子高生に手を振っていた。 謀られたか????!!! わしか織田信長かというような非現実的な叫びを脳内であげているのも虚しく、野口君に気付いた女子高生がこちらにのしのしと歩いてくる途中で、信じられないようなホントのことだが、わしは手に持っていたコーラをトレーに落とし、見事なまでに中身をぶちまけてしまった。初めての女子高生とのコンタクトのために緊張して手がブルブル震えてしまったことが原因か、女子高生の行進に合わせて発生する地震が原因か、今でも真相はわからない。 その後のことは、自衛の本能が働いたためか、記憶が定かではない。 マックを出て、予定通りBIGBOXのボーリングをしに行ったが、女子高生が軽々と16ポンドの球をかつぎ、丸太のようにゴン太の四肢から時速40kmの投球を繰り出していたという記憶は、わしの脳内で誇張されたウソの記憶であろう。 しかし破壊的なストライクを決めた女子高生が「やった☆」とばかりに身をくねらせて、まるでキャッチャーグローブのように分厚い掌がハイタッチのために振り上げられたときに、「捕食される!!!」と思ってしまったのは、悲しきかな、ホントの記憶である。 誰か、失われたわしの青春を、返してください。 PR |
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