2025 10,14 06:59 |
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2010 03,18 10:11 |
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引っ越し後荷物整理をしていたら自分の追いコンDVDが発掘され、最近卒業シーズンであることも重なって、おや懐かしいとばかりに鑑賞してみた。 全体の名プレー集から始まり、個人のプレー集と続き、メッセージビデオと続いた。
ふぅ懐かしいわ~と感慨にふけっていたら、続いて上下ユニ姿の気色の悪い男がSFC体育館の入口でストレッチしているという意味不明な映像が流れ始めた。
そうだ…
懐かしさと共に、輝かしい学生時代の思い出が込み上げてきた。
2006年の1月、わしは卒業制作の作業のため、一ヶ月くらい学校に通い詰めていた。
そのうち家に帰ったのは5日くらいしかなかったかもしれない。 1月も半ばに入りいよいよ作業も大詰め、命を削って最後の仕上げをしているところに、どりんぼより一本の電話が入った。
どりんぼ「相談があるんだけど…」
どりんぼにしては珍しく、電話越しの声が神妙であった。
事件にでも巻き込まれたのかと思い慎重に相談にのってあげることにした。
どりんぼ「やばい、俺卒業できないかもしれない。体育の最終レポート出すの忘れてた…」
わし「げ、まじか、何か事情があったのなら体育スタッフに相談してみなよ。」
どりんぼ「それが、今までずっとスノボに行ってて、2度も来ていたレポート未提出のメールをブッチしちゃっててさ、終わってる。」
わし「げぇ、それは終わっている。で、わしに何の用だい?」
どりんぼ「ハルオの所属している研究会の先生、体育スタッフの一員だったよね。なんとか頼み込んでレポート受け取るようにお願いしてくれよ、げへへへへ」
わし「ぅ…」
事件に巻き込まれたのはこっちだった。
自分の作業だけでもいっぱいいっぱいだというのに、訳のわからないことで先生と交渉しなければいけないという心労を背負わされ、全くもって不謹慎な話である。 それでもわしは4年間の付き合いもあるので、先生と面会の時間を予約し、他人事の相談にあがった。
先生「そういう話は本人が申し出るべきだよね。」
ごもっともこの上ないご回答である。
面談後すぐに電話にてどりんぼにその旨伝えると、彼はしょんぼりした様子であったが自らの責任に覚悟を決めた、かに思えた。
翌日の深夜1時。
研究室にて作業に没頭しているところに着信があった。 奴からだ。
嫌な予感がする…。
どりんぼ「体育スタッフの先生に、これまで体育の最終レポートを忘れた人はどれくらいの確率で卒業させてもらえたのか探りを入れてみてよ。」
わし「ぅ…」
深夜に超集中している最中に大胆に水をぶち差されるという鬱陶しさであったが、4年間同じチームで「喜びの共有」を分かち合ってきた友であったので、わしはすぐに先生との面会の時間を予約する連絡を入れた。
そして数日後、先生に相談してみた。
先生「いやぁ、それは実際体育スタッフでもわからないんだよね。年によっては全員卒業を認めないこともあるし。今の段階で卒業できるか、できないかははっきりできないな。今後開催される体育スタッフによる会議を経て、体育スタッフトップのSM先生の一存で決まると思うよ。」
今後の流れという有益な情報を携えて、どりんぼに報告した。
すると。
どりんぼ「なるほどね。まだ留年が確定したわけではないのね。じゃあ、どうすれば卒業できるか教えてくれるよう聞いてみてよ。」
わしはどりんぼによる傍若無人な立ち振る舞いに辟易し、奴の今後のため少しは社会的制裁を受けてもらわねばならんと確信した。
わし「そうだなぁ、とりあえず体育スタッフ会議の前に、SM先生に誠意を見せる必要があるね。そのためにはSM先生と直々に面会し、土下座でもなんでもして謝ることから始めないと。SM先生はバリバリの体育会系だから、体育会の反省の鉄則“坊主”にして行くとポイントが高いんじゃないかな。」
何も裏をとってない情報だが、どりんぼなりに切羽詰っていた模様で、わし独断のおもしろ司令をすんなりと了解した。
翌日、遂に奴が来校した。
SM先生に面会する前の奴に会うことができたのだが、確かに坊主であったが(湘南台駅の階段を上がったところにある床屋で坊主にしたらしい)、何か違和感を覚えてしょうがなかった。 わしは、誠意を見せる服装といえば、「スーツ+坊主」の組み合わせでバシッと決めてくるものと思いこんでいたが、ワールドワイドな感覚の持ち主であるどりんぼにそのような浅はかな常識は全く通用しなかった。
奴の格好は上から次のように組み合わされていた。
ニット帽→坊主→白のダウンジャケット→茶色のコーデュロイパンツ→ビジネスシューズ的な革靴
ビジネスシューズ的な革靴のところだけ、彼なりに誠意をみせたらしい。
どりんぼ「さすがにスニーカーより革靴のほうがいいっしょ」
わし「そうだね、いってらっしゃい」
勇ましい足取りでSM先生の研究室へ向かっていった誠意大将軍どりんぼの背中に、「無敵」の2文字が浮かび上がっているように見えた気がした。
数時間後。
しょげ返った誠意大将軍がそこにはいた。
面会した手応えは、惨敗だったらしい。
どりんぼ「なんでだろう、全くダメだった…」
爆笑をこらえきれないわし「そうか。。可哀そうに。。。でもこれで引き下がっちゃだめだぞ、チャンスがある限り何度も面会して誠意を見せ続けるんだぞ。」
数日後、どりんぼの明暗を分ける体育スタッフ会議が開催された。
会議後、わしは研究会の先生にどんな感じであったか尋ねてみた。
先生「結局、会議ではレポート未提出者は何人かいて彼らの処分について議論されたんだけど、今年はいろいろ大変だったみたいだよ。なんかSM先生の研究室にいきなり押し入って、平謝りを重ねた上になぜか坊主にしてきたことをアピールしてきた学生がいたみたい。それが彼なりの誠意だと思ったのかなぁ、おもしろい勘違いしてる人がいるものだよね。確かハスキーズの人だったみたいだけど、もしかして知り合い?」
わし「いえ、その人はたぶん知りません。」
これにて彼の人生が終わったことがほぼ確定的になった。
さよならどりんぼ、お互いベストを尽くしたが、残念だったな…涙
更に数日後。
レポート未提出者は全員留年がほぼ決まりかけていたところに、とある学生想いの体育スタッフ1人による情熱的な主張により、最終的にはその年はレポート提出が認められることとなった。
奇跡の大どんでん返しである。
レポート未提出者は罰として、体育館にて体育の授業で使用された柔道着を整理整頓するという労働が課せられた。
DVDに収録されていた、どりんぼが体育館入口でストレッチをしている謎映像は、この作業の直前の様子をとらえたものであったのだ。(撮影者:ガトリン、山田)
もちろんそのようなおもしろ映像が撮れるという情報をリークしたのは…
今後どりんぼが皆さんの前に坊主+革靴の組み合わせで現れたのなら、それは彼なりの精一杯の誠意であることを心に留めておこうではないか。 PR |
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