2025 05,16 03:58 |
|
2010 07,17 15:14 |
|
中世ヨーロッパの歴史が色濃く残る街、プラハ。 市内の中心地の方面に少し出れば、緩やかなヴァルダヴァ川(モルダウ川)を中心にどこを見ても荘厳な石造りの建物に囲まれた、まるでタイムスリップしたかのような素敵な景色が目の前を流れてゆく。その一方で観光地から外れ少し郊外の方に出ると、社会主義時代の重苦しい雰囲気のさびれた建物が並んでおり落書きされ放題なまま放置されているという、暗い一面も併せ持った街であった。 そんなプラハの、中心地からちょっと外れた場所に、我々の根城となるパノラマホテルは建っていた。四つ星ホテルらしく、外観も内装もサービスも、どこをとっても日本と比べても何も遜色のない立派なホテルであった。 我々に割り当てられたホテルの部屋は基本的にダブルであった。 そして、わしの世界大会の約1週間の期間生活を共にしたルームメイトは、 どりんぼ あまりにも残酷な部屋割りであった。 約1週間の間、パノラマホテル822号室においてどんな惨状が繰り広げられていたか、この場で告白させていただきたい。 ■無限放屁地獄 プラハ初日。 成田から飛行機で約15時間という長旅を終え、夕飯を済ませて部屋に着いたのは既に夜の12時を回っていた。別の便で先に到着していたどりんぼは既にベッドでおやすみになっていたため、わしも静かにベッドに入り、消灯した。即寝だった。 午前3時頃。隣から「プシューーーーーーーン」という、亀裂の入ったパイプからガスが漏れるような音がしたため飛び起き部屋を歩き回って調べてみたが、それらしい原因となる箇所は見つけられなかった。不気味に思いながらベッドに戻ろうとした時、隣のベッドから「バビ、モリ、ブリッ」っと、どう考えても意図的に残屁をひねり出す努力が感じられるサウンドが確認された。しかし彼はスヤスヤとおやすみになったままであった。 寝っ屁… 翌朝、昨晩の事件について問い詰めたところ全く記憶に無いし、するわけがないと心外顔をされたのは非常に鬱陶しかったが、寝っ屁はその日だけにとどまらなかった。ほぼ毎日午前3時定刻に隣からガス漏れが聞こえる度、わしは律儀にも毎回その音と匂いにより叩き起こされたのであった。 ■洗面所大洪水地獄 プラハの気候は、予想に反して暑かった。朝晩はそれなりに涼しいのだが、昼間は暑さも湿度も日本と変わらないほど蒸し暑かった。そのため一日試合をすると汗だくになるため、ホテルに帰ってまずすることは、食事よりも先にシャワーである。 部屋に戻ってから夕飯へ行くためのホテルロビー集合まで30分くらいあったため、2人で順番にシャワーに入ることにした。 わしはテーピングの処理にてこずっていたため、シャワーを先にどりんぼに譲った。 これは大きな過ちであった。 洗面所のドアが閉まっていたため、外にいる限り普通にシャワーに入っている、かに思えた。しかし奴は期待を裏切らなかった。途中から、「ブシュシュシュシュシュ」「ブシュシュシュシュシュ」「ブシュ!」と、イノシシたちが水遊びするかの如くサウンドが外に漏れ聞こえてきた。まぁ、常識では考えられない事件が洗面所で起きていることは容易に想像がつく。 10分後、バスタオルにくるまれたビショビショのどりんぼが出てきた。さっぱりして気持ちよさそうな顔をしていらっしゃった。 そして、わしの番である。 心して洗面所に入った。 広いユニットバスの、床、天井、鏡、全てがビショビショである。少し水滴が飛んでいる、くらいの騒ぎではない。例えるなら、バスタブでカーテン全開でシャワー全開でシャンプーをぶちまけ、ひとりウォータースライダーごっこを繰り広げたくらいビショビショである。床なぞは稀に見る豪雨により床上浸水した後くらいビショビショのぐちゃぐちゃであった。 浴室でここまで水遊びをしてしまうのは、7歳の少年であれば無邪気で済むが残念ながら彼はアラサーのオヤジであるため、今後のことを考えこの件に関してはその後キビシク指導させていただいた。 すると次回から、多少気遣ってシャワーを浴びる際にはカーテンを閉めるようになったのか、事態に改善の傾向がみられた。「やればできるじゃん」というと、奴は非常に誇らしげな表情をしていた。 しかしながら、チェコでする気疲れじゃねぇ…。 ■これトレードできるかな事件 世界大会には、イベントの1つとして「トレーディング・ナイト」というものが企画されている。これは試合とは全然関係なく、みんなで会場に集い各国のユニを交換しながらコミュニケーションを図る、というものである。 わしは前回の世界大会で経験していたためだいたいレーディングナイトとはどんなものか想像がついていたため、日本にいるときから、「着なくなったユニとか持ってくるといいよ」と教えていた。ただ相手も人間で何でもかんでもトレードしてくれるわけではないから、ある程度の質(チームのロゴみたいのが入っていた方がいい、背番号があった方がいい、など)は必要よ、とも言っていた。 ある日部屋にてカバンの中をあさっていたどりんぼからこんなことを質問された。「これ、トレードできるかな?」 そう言って取り出したものは、 ・両膝が完全に穴のあいた、5年ものの7分丈CWX ・いつかの大会のプレイヤーズキット(ロンT、パーカーなど)×3 ・いつかの久地練で地面に落ちていた、恐らくかつて野球少年が着ていたと思われる長袖インナー(紺・無地) ・両足の指先&カカトに穴があきつくしたアルティソックス ・ユニ数点 最初の6品くらい、絶対いらない!!!!!てかトレードできるわけがない!!!!!と、心の中で痛烈に思っていたものの、わしはそこをぐっとこらえ、「がんばれば、できるんじゃん?」と励ましてあげた。 が、上記の常軌を逸した6点の品の中で、奇跡的にプレイヤーズキットの真っ赤なパーカーだけはトレードに成功した模様である。トレードでもらったものは、奇しくもあげたのとほぼ同じ真っ赤なパーカーであったので、世の中のどこかには同類がいるんだなぁと感心したのであった。 プラハでの事件は多岐に渡るが、今回はこれまで。 PR |
|
コメント |
コメント投稿 |
|
trackback |
トラックバックURL |
忍者ブログ [PR] |